焙煎記録:ブレンド「火鉢」

12月の定期便ブレンド「火鉢」

カフェオレなどにも合う、コクと苦みのブレンド。

豆は6種使い、アフターミックス。

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オーガニックのペルー マチュピチュは欠点豆が多く、クロップもオールドなので乾燥が進んでいる。

深煎りで本領を発揮する豆なので、2ハゼまで聞いて冷却。コクの中にまったりとした甘みが出てくる。

今回のブレンドのメイン。

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カメルーンとタイは少量づつ。焙煎度を同じにするため、この2種だけプリミックス。

タイ チェンライ オリエンタルファズ農園はマイルドで今回のブレンドではそれぞれの豆の個性をまとめるためのつなぎの役目。

今期のタイはスクリーンが大きめで、甘みもある。カメルーンは独特の香ばしさがあり風味づけに。

2ハゼ直前で煎り止め。

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マラウィは上品なアシッド感があり、コクと甘みも柔らかく、オールラウンドな豆。

欠点豆も少ない。硬さがあり、芯まで膨らますのと焦げを出さないことのバランスをとるテクニックが必要。

今回はブレンドの中ではペルーの重さに負けてしまった感じ。

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カリブならではのさっぱりした風味を加えるためのドミニカ ドンファンスペシャルAA

これもペルーに負けたかなとおもうところ。配合率をもう少しあげても良かったか。

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最後に香りのアクセントにエチオピア イルガチェフェG1

浅めに焼いて、香りづけする。1ハゼ後すぐに冷却。

 

                   

 

 

 

 

 

 

 

焙煎記録:ブレンド「月天心」

10月の定期便ブレンド「月天心(つきてんしん)」

蕪村の俳句

月天心 貧しき町を 通りけり

から。もとは、漢詩の「清夜吟」から来ている言葉だそうです。

の中秋の名月がとても美しかったので、月にちなんで名前を拝借しました。

浮空のラベルのデザインは月を背に飛ぶトンボです。空に浮かぶものになぜだか心惹かれます。

豆は、ザンビア・ペルー・エルサルバドル3種のプリミックス。

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ザンビア NCLL農園 AA

NCLL農園は4つのEstateに分かれ、今回はKateshi、Isanyaの2つの農園から収穫されたコーヒーです。

かつては国営農場として運営されたNCLL農園ですが、干ばつなどの影響で生産量が激減し経営不振に。

2012年より植樹を再開し現在に至ります。ザンビア政府の輸出品として再生を期待されています。

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ペルー ぺルビアンゴールド

レインフォレストアイアランス認証。繊維産地域はカハマルカ県サンタロサ。

世界最大のコーヒー商社ボルカフェグループが、一から指導し現在の品質を作り上げた地域です。

収穫量を高めるための剪定やカットバック(高くなり過ぎないように木を切る)という行為は、

減産になるだろうと考える村の人を説得するのに、実際にやってみて何年もかかってやっと理解して頂いたそうです。

欠点豆はそれなりに。

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エルサルバドル サンタ・リタ農園

サンタ・リタ農園はエル・サルバドル西部ソンソナテ州のサンタアナ火山の裾野に位置しています。

この農園は火山灰土壌に加え、シェードツリーの落葉が腐葉土を作り出すことから土壌環境は 良く、

高品質コーヒーを栽培するのに適しており、ここにブルボン、パカス、パカマラと全てブルボン 系品種が栽培されています。

この農園で最も標高の高い「イラマテペック区画」で収穫された ブルボン種です。

サンタ・リタ農園で収穫されたチェリーはラス・クルセス・ミルに運ばれ、約12時間醗酵させた後、 綺麗な湧き水で洗浄されます。

この後、赤レンガとコンクリートの乾燥場にて10日程度かけて 天日乾燥されます。

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以上3種の豆をプリミックス。

本来は深煎りのほうが特徴が良く出る豆たちなのですが今回は口当たりがクリアなものに仕上げたかったので

やや浅めの煎りにしました。

口に含んだ時の柔らかい酸味と甘みに対して、後味はやや苦みを引くので、好みが分かれてしまうかもしれません。

焙煎記録:ブレンド「祭笛」

7月の福岡は、台風に豪雨、雷が1週間ほど続きました。

浮空の焙煎工房のある地域は特に被害はございませんでした。

被災された地域の方々には心よりお見舞い申し上げます。

7月の定期便ブレンド「祭笛」

夏祭りの笛の音が季語として使われます。

今年は、自然の猛威がこれ以上続きませんようにと願いながら夏祭りの笛の音を聴こうと思います。

今回のブレンドは、タイチェンライオリエンタルファズ農園・ブラジル ヴァージングランデ農園、ニカラグア ラス・ネブリナス農園のアフターミックスです。

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タイチェンライオリエンタルファズ農園。冷たい珈琲が飲みたくなる季節なので、少し深めに焙煎。

2ハゼが始まってから余熱にしてじんわり焼き上げます。

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ブラジルヴァージングランデ農園。こちらも2ハゼは余熱で軽くはじかせて煎り止め。

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ニカラグアラス・ネブリナス農園。2ハゼ直前で煎り止め。ブレンドに輪郭を与えるため、個性が出るところで冷却。

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思ったよりすっきり感があり、ホットでもアイスでも美味しく頂ける仕上がりになりました。

焙煎記録:ブレンド「風焔」

4月の定期便ブレンド「風焔(ふうえん)」です。

昔の人が、ドイツ語のフェーン(フェーン現象)の当て字として使っていた言葉だそうです。
晩春の湿った南風が日本列島の中央山脈にぶつかり、太平洋側に雨を降らせたあと、乾いた空気が日本海側に吹き下ろし、急激に気温が上が る現象のこと。

浮空の焙煎所のあるあたりは、この季節、明け方は濃い霧に包まれることが多く、霞たなびく山に点在する桜がとても綺麗です。

豆は、インドネシア マンデリントバコG1をベースに、同じくインドネシア  コモドドラゴン、タイチェンライ、エチオピア モカ イルガチェフェG1の4種類のアフターミックスブレンドです。花曇りをイメージした、少しスモ―キーな味わいです。

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タイチェンライオリエンタルファズ農園。だいぶ乾燥が進んできました。マイルドで甘みのある豆なので、今回のようにマンデリンとモカのように個性がまったく違う豆ををブレンドするときには、まとめ役として活躍します。特に、アフターミックスの場合は、個性がばらばらになってしまうので、中和するためにも欠かせません。

焙煎は、ニハゼ直前まで。深めに焼いても苦みは出にくいので、酸味を消して甘味がでるところで煎り止め。

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マンデリン トバコG1 このロットも残り少なくなってきたのでそろそろ次のマンデリンを探しているところ。トバコは当たりが少ないのでじっくり。

焙煎は、ニハゼ直前までのものと、思い切り振りきった極深煎りと2種類をブレンド。

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エチオピア モカイルガチェフェG1(ナチュラル)

イルガチェフェ地区の中でも特に高品質と言われているゲディオ地区で生産された小規模農家の集売豆を、モハメド・フセイン・アダミ・ウォッシングステーションという精製所で精製したもの。

欠点豆が少なくとてもきれいで、華やかなモカ特有の香りもかなりしっかりしています。

焙煎は、春らしいモカの香りを出すためにイチハゼ後すぐに煎り止め。豆が小さいのであっという間に熱が入ってしまうので細かくタイムキープしながらの焙煎です。

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インドネシア コモドドラゴン

フローレス島の豆です。コモドドラゴンが住んでいることからこの名前が付けられているようです。マンデリンに似た特徴を持っていますが、甘酸っぱいワイニ―感もあります。

深煎りでも美味いですが、今回は苦みとスモ―キー感はマンデリンに託して、イチハゼから余熱で軽く仕上げました。

 

 

 

 

 

 

 

 

焙煎記録:ブレンド「初音」

3月の定期便ブレンド「初音(はつね)」

初音とはウグイスの別名です。

ホンジュラスHG、キューバTL、グァテマラ フィラデルフィア農園 ラ・クプラワイニ―、パナマ ゴールデンビートルの4種類のアフターミックスです。

ホンジュラスとキューバの酸味が少なく穏やかで香ばしい風味をメインに、グァテマラの濃厚なコクと赤ワインのような香り、パナマの生のクルミのようなミルキーな香りを加えました。

桜餅のようなかわいらしい和菓子に合う珈琲です。

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ホンジュラスHG スペシャルティではないのでそばかすも欠点豆も多いですが、粒は大きく粒度も揃っていて焼き上がりにムラが出にくいので、丁寧にハンドピックすればとても良い豆です。

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火力強めでイチハゼまでで煎り止め。酸味が少ないので手回し焙煎の中では浅めに仕上げても味がきつくなりません。穏やかな香ばしさがありブレンドのメインには向いている豆です。

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キューバTL こちらもホンジュラスと傾向は似ている豆です。豆面が良く、焼きムラも出にくい焼きやすい豆。ホンジュラスよりも香りがやや立っている感じ。フルーティさはなく、香ばしさが特徴。

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こちらも強火のイチハゼで煎り止め。ブレンドのイメージから、香りを出しきる前に止めた感じ。

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グァテマラ フィラデルフィア農園ル・クプラワイニ―

生豆の状態でも甘酸っぱい香りが漂う豆。欠点豆は少なく、粒は小さ目。

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シルバースキンのはがれが良く、チャフはすぐ真っ黒になってぱらぱらと取れるので焼きやすい。火が通りやすいので、火力は加減しつつ、イチハゼ後、余熱で整えて冷却。

熟成した香りがしっかり立ってブレンドの香りの層に厚みを加えます。

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パナマ ボケテ地区 サンセバスチャン農園 ゴールデンビートル

グリーンでみずみずしい豆。欠点豆が少なくハンドピックは楽。ただし焼きムラが出やすいので試行錯誤。

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火力強めでイチハゼまで持って行き、ハゼたら火力を落としてゆっくり仕上げます。

ミルキーな香りと強い甘味が特徴。苦味弱め。

 

全体として穏やかな風味を中心に据えて、特徴の違う豆を使い、バランスを整えていくブレンドです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブレンド「沫雪」

2月の定期便ブレンド「沫雪(あわゆき)」です。

タイ チェンライ オリエンタルファズ農園をベースに、 エチオピア モカ イルガチェフG1、ケニア レッドマウンテン、

インドネシア フローレス コモドドラゴン、エルサルバドル エル・モリノ農園 の5種類のプリミックスです。

タイチェンライの甘みとさわやかさに、 モカのフルーティな香りとプラスアルファの酸味、コク、と バランスの取れた味わいを意識して作りました。

名前は、 沫雪の このころ継ぎてかく降らば 梅の初花散りか過ぎなむ

大伴坂上郎女(おおとものさかのうえのいつらめ) の詠んだ歌からです。

全国的に大雪のニュースの多いこの頃ですが、 福岡でもここ数日雪が降り、咲き始めた梅の花にうっすらと積もりました。

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タイ チェンライ オリエンタルファズ農園

冷めても味の変わらない、マイルドで甘みがあり安定した味わいの豆。

http://orifas.com/chiangrai-coffee/

農園のHPはこちら。

ツイッター@ORIFAS   では、タイとミャンマーの国境の美しい風景のお写真を時々アップされてます。

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ケニア 北キアンブ地区 ティンガティンガ農園 レッドマウンテン

ブレンドには少量配合しましたが、ボディの強さとスパイシーさが隠し味になって効いています。

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エチオピア イルガチェフェG1 華やかな香りとフルーティな酸味を出すために、この豆に焙煎の照準を置きました。

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エルサルバドル アパネカ地区 エル・モリノ農園 RA認証

浅めの焙煎ですっきりした透明感のある風味づけ。

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インドネシア フローレス島 コモドドラゴン

マンデリンに似ていますが、大きさはひとまわり小さく、苦みとコクの強さが特徴です。

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仕上がりは、すっきりしつつ、後味のコクを楽しめる味わいに。バランスよくまとまったと思います。

バレンタインデーも近いので、チョコレートとご一緒に。

焙煎記録:ブレンド「白姫」

1月の定期便ブレンド「白姫」

白姫とは冬を司る女神で、別名「宇津田姫」とも。

宇津田=打つ田、年のはじめの早朝、田畑に出て形式的に鍬入れをして田の神様をまつる行事に由来しているようです。

雪の多い地方では田に積もった雪に、わらや松の枝をさして田植えの真似をして一年の豊穣を願う所もあるそうです。

今回のブレンドは、タイ チェンライ オリエンタルファズ農園とコスタリカ サンタアニタ農園、2種類のプリミックスです。

焙煎は中深煎りで、苦みと香ばしさを出しました。カフェオレにもおすすめ。

お砂糖を加えないカフェオレにホワイトチョコレートをひとかけら沈めておくと、

飲み終わるころにとろっと溶けたチョコレートの甘みが口の中に広がり牛乳の後味を消してくれて珈琲の味が締まります。

ホワイトチョコレートを雪に見立てて珈琲で田打ち、も風流かもしれません。

甘党の方はぜひお試しください。

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プリミックスした状態のタイとコスタリカ。水分の抜け具合が近いので、あがりにムラが出にくい組み合わせにしました。

深めに焙煎するときは一部の豆が焦げないよう、同じクロップの豆同士が焼きやすいです。

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豆のスクリーンには差がありますが、タイはやや深めのほうが甘味がでてチャフもきれいにはがれるのできれいに仕上がりました。