モカ マタリ

中東、アラビア半島の南部に位置するイエメン共和国。

日本よりやや広い面積の大部分が砂漠で、定住する農耕民族は少なく、遊牧人やサウジアラビアの石油産業への出稼ぎ労働者も多い国です。

コーヒーの産地としては有名ですが、生産量はそれほど多くありません。

IMG_2610

モカ全般に言えることですが欠点豆が多く、ハンドピックに苦労する豆です。そのぶん香りは華やかですっきりした酸味が特徴。

ブレンドのアクセントにも重宝します。

IMG_2613

モカの特徴を活かした中煎り。雑味が出ないよう、焼き上がりに再度丁寧にハンドピック。乾燥が進んでいるので焼きすぎの豆をしっかり取り除きます。

フルーティなお茶のような味わい。

グァテマラ ブルーレイク SHB

火山の噴火活動によって形成された景勝地アティトラン 湖周辺で栽培されており、この湖にちなんでブルーレイクと名付けられています。

SHBとはスクリクトリーハードビーンズの略。グァテマラの生豆は産地の標高によって等級がわかれており、標高1350m以上の高地で生産されるSHBは最高級のグレードです。

IMG_2606

粒は小さ目。酸味と甘味両方を兼ね備えている豆なので、どちらの特徴を強く出したいかによって焙煎度が変わります。

IMG_2607

今回はやや深めに。二ハゼを聞いてから冷却。深めに煎っても苦みが強くなりすぎないのが長所です。

 

ニカラグア マラゴジッペ

カリブ海と大西洋に挟まれた中央アメリカに位置するニカラグア。

日本の1/3ほどの面積で、50万強の人口の4割が農作物の生産に携わっています。

主な農作物はコーヒー、バナナ、サトウキビなど。肥沃な火山灰性土壌は良質なコーヒーを育てます。

IMG_2600

コーヒーの原種に近いティピカ種の突然変異で生まれたといわれるマラゴジッペ種。別名エレファント・ビーンズと呼ばれているとても大粒な豆です。生産量が少ないため、価格は高めですが味わいは大きさに比例して大雑把な感じ。

IMG_2601

大味なのでその柔らかさを活かして、マイルドになるように焙煎。イチハゼは火力を落としてじわじわと中まで熱を通し、ニハゼ直前の、柑橘系の酸味をわずかに感じる位のところで煎り止め。

IMG_2604

右が一般的なサイズ。左がマラゴジッペ。

余談ですが、このマラゴジッペ種とパカス種をかけ合わせたパカマラ種は、味、見た目共に評価の高い品種です。

焙煎記録:ブレンド「空錠」

4月の定期便ブレンド「空錠(からじょう)」

空錠と人には告よ田打人  一茶

初夏、田植えの前の土起こしを「田打ち」というそうです。

朝早くから日暮れまで田に出て働くお百姓さんは、来客を迎える暇もなく、家の鍵は開いているから勝手にお入りよと、いうような意味合いだと思います。

いまは家の鍵をかけずに出かけるのはなかなか難しいことですがこんな風に心はのんびりとしていたいものです。

IMG_2463

インド モンスーン。薄い黄色の良く乾いた生豆。

IMG_2464

あっさりめに煎って香ばしさを出します。

IMG_2465

マンデリンG1 するんとした肌の生豆。ここ数年品質が安定せず虫食いが多いので入念にハンドピックします。

IMG_2467

二段階焙煎で。一ハゼの段階で一度冷却して水分をしっかり飛ばしてからもう一度焼きます。このくらいの煎りだとオパールのような複雑な色の豆肌。

IMG_2468

それでも深く煎りすぎないよう、2ハゼ直前で冷却。ここまで来るとつややかでしっとりした肌合いになります。

IMG_2469

インドとマンデリンの緩衝材的な役割でタイチェンライを少々加えます。

春の土が目覚めるような香ばしくコクのあるイメージのブレンドです。