インドネシア ガヨマウンテン

インドネシア スマトラ島 アチェ州 ガヨマウンテン

インドネシアは大小合わせて13000以上もの島からなる島嶼国家で、 ひとくちにインドネシアと言っても、 それぞれの島や少数民族ごとに異なった歴史のある複雑な国です。

アチェはスマトラ島最北端にある州で、 もともとはアチェ王国として胡椒の貿易などで栄えていました。

1942年にスマトラ島がインドネシアに統合された後も、 アチェ・スマトラ国として独立運動を続け、政府軍とのゲリラ戦が続いてきました。

2004年のスマトラ沖大地震・津波の被害が甚大だったことでいったん停戦となり、 翌2005年にようやく和平条約が結ばれました。

アチェ州で生産しているコーヒーの生豆が日本で普及しはじめたのは、 ここ10年ほどのことです。それまでも生産は行われていたのですが、 アチェよりも少し南部の、マンデリンに混ぜられて出荷されていたそうです。

ガヨマウンテンは、マンデリン見た目はよく似ており、 大粒できれいな濃グリーンの生豆です。 味わいは、甘く重たいコクがあり、香りはワイニ―(赤ワインのような香り)です。

深煎りでも美味しいのですが、今回は少し軽めに。

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大粒できれいなグリーン。欠点豆も少なくハンドピックはどちらかというとアフターでしっかり。

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火力強めでイチハゼが終わるまで待ち、弱火にしてじわじわと仕上げる感じ。しっかり膨らんだら火を止めて冷却。

インドネシアはフレンチかイタリアンまで振り切ることが多いのですが、今回は甘酸っぱさを残して軽めの仕上げ。

 

パプアニューギニア ピーベリー

パプアニューギニアはオーストラリアの北、赤道のすぐ下に位置する島国です。

コーヒー豆の生育には、昼と夜の寒暖の差(気温差)が欠かせないものですが、パプアニューギニアは、「一日で一年の気候を繰り返す」といわれるほど変化に富んだ環境で、コーヒーの栽培にはとても適していると言われています

今回焙煎したのは、ピーベリー。

ピーベリーとは、コーヒーの木の先端部分になる実のことで、丸っこい形が特徴です。

通常は一つの実の中に、二つの種子(コーヒー豆)が向かい合うような形で入っているのですが、ピーベリーは一つしか入っていません。そのため、「コーヒーのひとりっこ」と呼ばれたりもします。

一本の木から収穫されるピーベリーの量は大体全体の一割くらいです。

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丸い形。ころころしていてかわいらしいです。しっかりウォッシュドされていてチャフは少なく、欠点豆もほぼなし。

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イチハゼ直前の香りが素晴らしいです。前にパプアを焙煎した時にも同じことを感じたので、かなりはっきりした特徴だと思います。生豆の時から粒が大きいなあと思っていましたが、膨らみが素晴らしく、ピーペリーとは思えない迫力のある仕上がりです。

イチハゼは控えめ。いったん火力を落とします。苦みが出すぎないようニハゼ前に火から外して、余熱でややゆっくり仕上げます。甘みのある酸味が出たジューシーな味わいだと思います。

 

 

 

 

 

ミャンマー ピンウーリン

東南アジアの共和国ミャンマー。東にラオス、南東にタイ、西にバングラディッシュ、北西にインド、と複雑な場所にあり、主要な少数民族だけでも9民族という多民族国家です。1989年まではビルマという国名でした。

軍事政権が長く、麻薬の栽培が盛んだったゴールデントライアングルを巡っての様々な紛争もあり産業の発展が難しい国でしたが、2008年の憲法改正により非暴力民主化運動の指導者アウンサンスーチー氏の軟禁が解除され、次第に民主化が進んできました。

2012年アメリカがミャンマーへの政策転換(規制の緩和)をしたため、日本でもようやくミャンマー産のコーヒー豆が輸入できるようになってきたようです。

『国の民主化に至る以前の2008年、当時の首都ヤンゴン(旧称ラングーン)でスーパーマーケットを営むオーナーは、世界的にも貧しい国で生産される農産物の多角化と、将来的な貿易商品多様化の一助となるべく、コーヒー生産のための農地を取得。

それまでも細々とコーヒーが生産されていた山間部において、地元のコーヒー研究所の指導を仰ぎながら少しずつ苗木を生産、栽培面積の拡張を進めています。

実際に農園でコーヒーの生産に携わるのは、地元の農業学校を出た若者たちで、
熱心にコーヒーの生産方法を学びつつ、今後の品質向上にも非常に前向きです。

幸運にもこういった生産者と出会うことができた弊社は、品質面ではまだまだ他国に比べ劣るとはいえ、意欲あふれる生産者の意識をより高めたいと思い、彼らが生産するコーヒーを試験的に購入するに至り、2年目を迎えております。』

※『』内は、生豆を輸入している商社、兼松さんの資料より抜粋。

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まだ欠点豆が多く、不安定な粒揃い。

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焙煎は中煎りで。味わいはおとなしめ。特に際立った個性は感じませんが、標高の低い地域特有の淡い酸味があります。柔らかさのあるマイルドな豆です。ブレンドのベースに使うと良いかも。これからの発展と品質の向上が楽しみです。

パプアニューギニア トロピカルマウンテン

総合商社兼松さんが、パプアニューギニアのコーヒー産業の政府機関である「Coffee Industry Corporation LTD」通称「CIC]と

7年越しに共同開発したプライベートブランド「トロピカルマウンテン」です。

生産者と流通者の長年の努力の結晶です。

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今回焙煎した分はパースト(昨年度収穫分)でやや水分が抜け乾いていましたが、粒は大きくとてもきれいな豆です。

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焙煎はミディアムで。一ハゼ直前の香りの膨らみが素晴らしく、濃厚な甘みを感じさせました。

トロピカルマウンテンという名の通りの豆だなあという印象。

パーストでも軽やかな酸味がしっかり残っていて、一口目のインパクトは強く、フルーティな酸味がほんのり抜け、後味の引きの良いすっきり感もありました。

後味の引きの良さで全体の印象はマイルド。同じパプアでもシグリとはまた違った魅力がありました。

秋入荷予定のニュークロップではもっとフルーティさが強く出てくれそうで、コンテナの到着が待ち遠しい豆です。

タイ チェンライ オリエンタルファズ農園

(タイのコーヒー農園を見学させて頂いた時のブログ記事より引用しています)

 

タイ北部、ミャンマーと国境に位置するチェンライ。

オリエンタルファズ農園は今中健太郎さんという日本人の方が現地の少数民族の方々と一緒に営んでいらっしゃる農園です。コーヒーのほかにも日本米や釜揚げ古代塩などを作っていらっしゃいます。http://orifas.com/

バンコク在住の友人のカフェでオリエンタルファズの珈琲豆を取り扱っていることがご縁になり、今回、今中さんに農園を案内して頂きました。

短い時間でしたがいろんなことを教えて頂き、とても勉強になりました。

オリエンタルファズは、開墾した土地に植樹するのではなく、標高1200mほどの山の中で森の木々をシェイドツリーとして植えられています。

ぎりぎりまで手を加えない自然の生態系の中でコーヒーの木が育っていました。

コーヒーの木は本来日陰を必要とする植物です。開墾した土地では効率よく生産が出来ますが、シェードツリー(日陰を作るための木々)が少ないところが多いのです。

いままで知っていたコーヒー農園(自分で見たことはなくて映像や本でなどの情報として知っているだけですが)の乾いたイメージと、この農園はあまりにもかけ離れていましたが、驚くというよりはなんだかとても安心する場所でした。

森のひんやりした湿度とみずみずしく実るコーヒーの実、つややかな葉とそれらを高く覆う木々に、言葉にならないくらい強く心惹かれました。

これから開墾された土地を森に戻していきたいと、さらりと言う今中さんの中に言葉ではなくただ当たり前に日々を過ごしていることの強さを感じました。

この農園で収穫された豆は、2012年2月にタイ・チェンマイで開かれた国際博覧会のロイヤルフローラ国際品評会で、タイ国内産のアラビカ種のコーヒー豆の最優秀賞を受賞されています。

けれど、品評会で賞をとっているから素晴らしい豆というわけではないと思います。

活き活きとした森があって、精霊信仰を持つ山岳民族のアカ族の方々が村全体でコーヒーと関わって、村の人と今中さんがお互いをリスペクトしあっているから豊かな収穫がある。森の生態系の中で、当たり前に当たり前のことが行われているから素晴らしい豆になるのだろうなと思いました。

この豆に宿っているなにかを引き出す焙煎が出来たら良いな、と思います。

生豆。

一般的な天日干しより長い時間(2週間)かけてじっくり乾燥させてあるそうです。

そのせいか、焙煎時の水分の抜けが良く、軽やかな焼き上がりになります。

味わいはまろやか。香ばしく、ほんのり甘味があり、柔らかな苦味の余韻が楽しめます。

 

 

 

 

 

 

バリ アラビカ 神山(しんざん)

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東南アジアのインドネシア共和国に属する、人口約320万人の島、バリ。観光地として有名な場所ですがコーヒーの産地としても魅力的な場所です。

島の北部にはバリ・ヒンドゥーの信仰対象となっているアグン山やバトゥール山があり、この火山帯の活動によりとても豊かな土壌が良質な豆を育んでいます。

神山は標高1150~1650mのバトゥール山域で栽培されている、ティピカ系カルティカ等5種という品種です。

収穫後、水洗、天日乾燥を経たあと、3ヶ月間熟成させてから出荷されます。

粒は大きめで、白みの強いみどり。

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【焙煎】

浮空では、ドリップの方法によって焙煎度合いを変えています。お客さまのご要望にあった焙煎でお届けします。

画像は中煎りですがやや浅め。

本来、香り、苦味、コク、甘味、酸味のバランスがよく、焼き上がりの見た目も美しい豆です。ギフトにもおすすめです。

 

 

東ティモール エルメラ県 レテフォホ

ブログ 東ティモール 002

東ティモール エルメラ県 レテフォホは、ピースウィンズジャパンというNGOを通して輸入された無農薬有機栽培のコーヒー豆です。

※画像はフリーの素材をお借りしました

オーストラリア大陸のすぐ北に位置する東ティモールは、2002年にポルトガルから独立したばかりの民主共和国です。インドネシア群島の東端の島の、そのまた東半分が国土で、日本の人口10万人くらいの市町村に相当する小さな国です。

品種はアラビカ・ティピカ。土壌は赤土で、モクマオウ(見た目は松に似てます)の森をシェードツリーとした緑豊かな環境で栽培されています。

完熟した豆を手摘みで収穫。その日のうちに発酵~洗浄の精製過程に入ります。完熟した豆は収穫後約8時間で腐敗が始まるからだそうです。

まずは洗浄し、果肉を除去したあと、未成熟豆や虫食い豆を選別します。その後、36~42時間水に漬けて発酵。さらに2度の洗浄を経て、水分量が約12%になるまで天日で乾燥します。ここまでが精製。

その年の収穫期(5月~9月)が終わるまで収穫と精製を繰り返し、低温低湿度の収穫地にて保管。最後にまとめて脱穀業者へ輸送します。脱穀が終わると麻袋に詰めて船に乗せ、各国へ送られます。

粒が大きくて堂々とした豆面。丁寧に洗浄されています。パプアニューギニアやバリアラビカと見た目が似ています。

ブログ 東ティモール 015

【焙煎】

中煎りでお届けします。業者さんから素直な味わい、と聞いていましたがまさにそんな感じでした。最初の口当たりはすっきりしていて甘味が先に来ます。全体的にマイルドで飲みやすい豆です。深煎りにしてもきつくは感じないと思います。