焙煎記録 ブレンド「遊糸」2012.4.11

 

今回は6種類の豆を使った複雑な味わいのブレンドです。

主軸はジャワロブスタというインドネシアの豆ですが、この豆は丸っこくてかわいらしい見た目に反してかなりボディの強い苦味を持っています。

この豆を使う時はその個性を活かしつつ、中和しながらまろやかさを引き出すために複数の豆を組み合わせていきます。

ロブスタ種の豆は缶やインスタントの原料になるほか、アイス用の香り上げのためや、酸味消しに使われることが多いのですが、インドネシアの国営農場(PTP)で生産されいるこの豆はグレードが高く、精製過程でしっかり水洗され雑味が少ないのでシングルでも美味しく飲めますし、ブレンドのメインに使ってもアラビカ種に負けない風味を持っています。

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ジャワロブスタの生豆。ウォッシュド(水洗精製)なので表面に薄皮がほとんどなく、つるっとしています。

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焼き上がりがこちら。苦味をしっかり引き出していたほうが、ブレンドの機軸を作りやすいので、つやが出るまでしっかり焼きます。

次に、甘味を加味するためにマンデリンを使います。

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浮空で使っているマンデリントバコG1は、インドネシアから横浜港に運ばれ、その後青森に出荷され、福岡にやってきます。ちょっと遠回りしてますね笑

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同じインドネシアの豆でも、マンデリンは粒が大きく色は翡翠色で面長。

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こちらもしっかり深煎りにしますが、ブレンドではアクセントとして使うので量は少なめです。

次に、キリマンジャロとホンジュラスをプリミックス(焙煎前に混ぜる)して軽めに焼きます。

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右がホンジュラス、左がキリマンジャロ。粒の大きさ、水分の含有量が近いので一緒に焼くことが可能です。

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この2種類はすっきり感を出すために使います。ロブスタのザラつきを中和してくれます。

次に、香りをよりよくするためにタンザニアのモカを少量加えます。

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粒が小さめでおコメを大きくしたような、両端がすこし尖ったよう形。

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浅めに焼いて、香りをしっかり引き出します。酸味も出ますが、ブレンドするとあまり感じなくなります。

途中途中で試飲しながら配合を決めていきます。混ぜたあとからでは分けようがないので(笑)10gくらいづつブレンドを作って、テイスティングを繰り返します。

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こちらが最終的に混ぜ合わせたものです。

名付けて「遊糸」(ゆうし)。陽炎という意味です。春の驟雨が地面を潤し、土の匂いの中にゆらりと立ち上る陽炎のようなイメージ。

土の香りのような力強い苦味の中から立ちのぼる陽炎のような甘味を感じて頂けたらなと。ちょっとこじつけ・・・ですけどお許しを。笑。

※こちらのブレンドは定期便のお客さま用の商品となります。申し訳ございませんが、ご注文は承っておりません。