焙煎記録:ブレンド「打水」

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7月の定期便ブレンド「打水(うちみず)」

アイス珈琲や、珈琲ゼリー、グラニテなどのひんやりデザートへのアレンジを意識したブレンドです。

苦みをしっかり出し、アイスクリームやシロップと併せても香りが立つような配合を考えました。

・コロンビア ナリーニョ

・マンデリン トバコ

・ケニア マサイAA

・エクアドル ガラパゴス

・ジャワロブWIB-1

の5種類を使いました。

ジャワロブは隠し味なので、コロンビアとプリミックス、あとはすべてアフターミックスです。

それぞれに違う苦みを持っているコロンビアとマンデリンを深煎りで、ベースにして、ケニアの香りと酸味を加えました。

エクアドルとジャワロブはアクセントに。

ホットだとやや苦みが勝ち過ぎるので、豆の量を少なめにドリップをおすすめします。

アイス珈琲のほうが本領を発揮すると思います。

 

ケニア マサイAA

ケニアはアフリカ中央東部にある、インド洋に面した国で、エチオピア、タンザニア、と並んでコーヒーの栽培が盛んな国です。

アフリカの豆は比較的酸味の強いものが多いのですが、国ごとに酸味の特徴が異なっていて比較すると面白いです。

ケニアの酸味は、熟成した果実が発酵を始める時のような濃厚な香りを伴った酸味です。ワインで喩えるとフルボディという感じ。

好みは分かれるところだと思いますが、気に入るとクセになります。

AAというのは等級をあらわし、もっとも品質の高いものです。

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チャフがたくさんでるな、という感じ。渋皮のたくさんついている生豆。粒はそろっていてとてもきれいです。

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2ハゼを聞くと同時に煎り止め。殻豆が多くハンドピックにやや手間取りますが、甘酸っぱく濃厚な香りがたまりません。

 

エクアドル ガラパゴス サンタクルス農園

南米エクアドル本土から約1000km離れた太平洋に浮かぶガラパゴスの豆です。

ガラパゴスは、イザベラ島、サンタクルス島、サンティアゴ島などいくつかの島から成り立っています。

絶海の孤島という地理条件から生物が独自の進化を遂げていて、世界的な研究対象となっています。サンタクルス島にはダーウィン研究所もあります。

法律上、外部からの農薬や化学肥料などの持ち込みが一切禁止されているめ、島内での農作物はすべて無農薬有機栽培です。

コーヒー自体は1869年にフランスの探検家が苗木を持ちこんだとされていて、古来から独自の進化をしてきたわけではありません。

サンタクルス農園は1990年に現在の農園主ゴンザレス家が古いプランテーションを発見し、栽培を再開したものだそうです。

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ガラパゴスを焙煎するのは2度目ですが、前回はエイジングされた豆だったので、ニュークロップは初見。つややかなグリーンのきれいな豆です。欠点豆もほぼない状態。

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2ハゼと同時に煎り止め。膨らみがよく、センターカット(豆の真ん中のライン)もとてもきれいに出ています。

ブルボン種(アラビカ種、ティピカの突然変異で生まれた豆)100%で香りが高くこくもあります。風味がしっかりしているので、薄めにドリップして2杯、3杯と飲める珈琲です。

ミャンマー ピンウーリン

東南アジアの共和国ミャンマー。東にラオス、南東にタイ、西にバングラディッシュ、北西にインド、と複雑な場所にあり、主要な少数民族だけでも9民族という多民族国家です。1989年まではビルマという国名でした。

軍事政権が長く、麻薬の栽培が盛んだったゴールデントライアングルを巡っての様々な紛争もあり産業の発展が難しい国でしたが、2008年の憲法改正により非暴力民主化運動の指導者アウンサンスーチー氏の軟禁が解除され、次第に民主化が進んできました。

2012年アメリカがミャンマーへの政策転換(規制の緩和)をしたため、日本でもようやくミャンマー産のコーヒー豆が輸入できるようになってきたようです。

『国の民主化に至る以前の2008年、当時の首都ヤンゴン(旧称ラングーン)でスーパーマーケットを営むオーナーは、世界的にも貧しい国で生産される農産物の多角化と、将来的な貿易商品多様化の一助となるべく、コーヒー生産のための農地を取得。

それまでも細々とコーヒーが生産されていた山間部において、地元のコーヒー研究所の指導を仰ぎながら少しずつ苗木を生産、栽培面積の拡張を進めています。

実際に農園でコーヒーの生産に携わるのは、地元の農業学校を出た若者たちで、
熱心にコーヒーの生産方法を学びつつ、今後の品質向上にも非常に前向きです。

幸運にもこういった生産者と出会うことができた弊社は、品質面ではまだまだ他国に比べ劣るとはいえ、意欲あふれる生産者の意識をより高めたいと思い、彼らが生産するコーヒーを試験的に購入するに至り、2年目を迎えております。』

※『』内は、生豆を輸入している商社、兼松さんの資料より抜粋。

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まだ欠点豆が多く、不安定な粒揃い。

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焙煎は中煎りで。味わいはおとなしめ。特に際立った個性は感じませんが、標高の低い地域特有の淡い酸味があります。柔らかさのあるマイルドな豆です。ブレンドのベースに使うと良いかも。これからの発展と品質の向上が楽しみです。

タンザニアAA オルディアーニ村  グリーンヒル

タンザニアは、アフリカ中央東部のインド洋に面した国です。

アフリカ最高峰のキリマンジャロ山を有していることから、日本ではこの国の豆をキリマンジャロと呼ぶことも多いです。

オルディアーニ村は、タンザニア北部の世界遺産、ンゴロンゴロ保全地域の近くにあります。農園内にゾウが住んでいるそうです。

グリーンヒルというのは、農園内でもっとも質の良い豆が収穫出来るエリアを指す呼び名です。

農園主のBharat C Pate氏lは、タンザニア生まれ、イギリス育ちのインド人だそうです。(どっちかというと紅茶農園主っぽい経歴ですね。笑。)

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小~中くらいの粒。

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焙煎は2ハゼを聞いてから煎り止め。雨の少ないタンザニアの豆は酸味が強いのですが、きりっとシャープな味わいなので、すっきり系が好きな方に向いています。浮空では酸味を抑え気味にするため、やや深めの煎りです。

パナマ ボケテ グラン・デル・バル・ティピカ RA

北米と南米の境に位置するパナマ共和国。

北のカリブ海と南の太平洋に挟まれているこの国はインディオの言葉で「魚が豊富」という意味を持っています。

スペイン、コロンビア、アメリカの統治を経て、1999年に共和国として独立しました。

グラン・デル・バル・ティピカを生産しているのは、RA認証農園Cafetalera Fernandezのリカルド氏。

1946年に、18歳だったリカルド氏は進駐軍として日本に1年間滞在したことがあるそうで、とても親日家だそうです。

ティピカはアラビカ種の中でも原種に近く、野性味ある味わいの豆です。

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粒が揃っていてきれいです。丁寧に水洗されています。

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焙煎は2ハゼ前で止め。1ハゼ直前にになんともいえない甘い香りが漂いました。このタイミングの香りは一瞬ですが、豆のポテンシャルが良く表れると思います。

焼き上がりはちょっとごつごつした岩っぽい肌目です。酸味をしっかり残しつつ、甘い香りが楽しめます。