先日、今回のアジア旅の最後に見学させて頂いた、タイ・チェンライのオリエンタルファズ農園から生豆が届きました。
12月のメニューですでに販売を開始しておりますので、旅の記録とはまた別に豆のことを少しご紹介させて頂きます。
オリエンタルファズは今中健太郎さんという日本人の方が現地の少数民族の方々と一緒に営んでいらっしゃる農園です。コーヒーのほかにも日本米や釜揚げ古代塩などを作っていらっしゃいます。http://orifas.com/
バンコク在住の友人のカフェでオリエンタルファズの珈琲豆を取り扱っていることが縁になり、今回、今中さんに農園を案内して頂きました。短い時間でしたがいろんなことを教えて頂き、とても勉強になりました。
オリエンタルファズは、他のコーヒー農園のように開墾した土地に植樹するのではなく、標高1200mほどの山の中で森の木々をシェイドツリーとして植えられています。ぎりぎりまで手を加えない自然の生態系の中でコーヒーの木が育っていました。
コーヒーの木は本来日陰を必要とする植物です。開墾した土地では効率よく生産が出来ますが、シェードツリー(日陰を作るための木々)が少ないところが多いのです。
いままで知っていたコーヒー農園(自分で見たことはなくて映像や本でなどの情報として知っているだけですが)の乾いたイメージと、この農園はあまりにもかけ離れていましたが、驚くというよりはなんだかとても安心する場所だと感じました。
森のひんやりした湿度とみずみずしく実るコーヒーの実、つややかな葉とそれらを高く覆う木々に、言葉にならないくらい強く心惹かれました。
これから開墾された土地を森に戻していきたいと、さらりと言う今中さんの中に言葉ではなくただ当たり前に日々を過ごしていることの強さを感じました。
この森はここにしかないけれど、タイ・チェンライだからではないのだろうなと思いました。オリエンタルファズだから、今中さんとその仲間たちだからこそ作れるコーヒー豆なのだと思います。もしも今中さんが南米にいたとしても、アフリカにいたとしても、オリエンタルファズはオリエンタルファズの豆を作るのだろうな、思うのです。
この農園で収穫された豆は、2012年2月にタイ・チェンマイで開かれた国際博覧会のロイヤルフローラ国際品評会で、タイ国内産のアラビカ種のコーヒー豆の最優秀賞を受賞されています。
けれど、品評会で賞をとっているから素晴らしい豆、だとは思いません。
活き活きとした森があって、精霊信仰を持つ山岳民族のアカ族の方々が村全体でコーヒーと関わって、村の人と今中さんがお互いをリスペクトしあっているから豊かな収穫がある。森の生態系の中で、当たり前に当たり前のことが行われているから素晴らしい豆になるのだと思うのです。
この珈琲に宿っているなにかを引き出す焙煎が出来たら良いな、と思います。そして、飲んでくださるみなさんはこの記事のこと全部忘れてシンプルにおいしいなーって感じてもらえたらそれがいちばんなんじゃないかと。
後日、旅の記録ブログの最後で詳細にご報告いたします。