焙煎記録:ブレンド「オラ」

11月の定期便ブレンド「オラ」

インドネシア フローレス島の「コモドドラゴン」「パプアニューギニア フィニステラAA」の2種類のブレンドです。

世界最大・最強のトカゲと言われるコモドドラゴン(コモドオオトカゲ)。

島の伝説に、あるところに王女がいて、双子を産み、片方は人間の男の子オラン、もう片方はコモドドラゴンの女の子オラ・・・・

というお話があり、この名前にしてみました。

(いつも和風な名前を付けているのですが生豆の名前がインパクトありすぎてブレンドの名前が思い浮かびませんでした笑)

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パプアニューギニア フィニステラAA オーガニック

欠点豆が少なくスクリーンも大きくとてもきれいな生豆。クロップがややオールドなので乾いていますが、

オセアニア地域の有機栽培の豆の品質はここ数年本当にクオリティが上がったなあと感じます。

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酸味が残るよう中煎りで。ボディが強くも甘みもある豆なのであっさりめに仕上げても充分コクが出ます。

やや低めの火力でイチハゼまで持って行き、極弱火で30秒ほど待ってから冷却。

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コモドドラゴン フローレス

粒の小さ目のマンデリンという感じ。水分も十分あり、欠点も少なめ。

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イチハゼから火力を落としてじっくり5分。ニハゼまで待たずに冷却。

やや色むらは出るものの、カラカラにならず水蒸気爆発(ハゲ)もほとんどなくしっとりとした仕上がり。

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コモドドラゴンをメインに、パプアニューギニアで全体を均す感じで。

とろみのあるコクにふんわりした酸味が加わったブレンドになりました。

 

 

 

 

 

焙煎記録:ブレンド「石榴」

10月の定期便ブレンド「石榴(ざくろ)」

甘酸っぱさを感じるようなブレンドです。

グァテマラ ラ・ホヤをメインに、タイチェンライオリエンタルファズ農園、エチオピア グジクオリティ1を加えた3種類のプリミックス焙煎。

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グァテマラ ラ・ホヤ、欠点豆が少ない分、細かいところを見落とさないようハンドピックに気を使う豆。味わいのバランスが良く、今回はメインに使うのでやや酸味が前に来るよう、浅めに。

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タイ チェンライオリエンタルファズ農園。マイルドで甘みのある味わい。個性が強くない分、ブレンドではまとめ役として活躍する豆。

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エチオピアグジクオリティ1。フルーティな香りが特徴。エチオピアの中では状態が良く安定した味わい。

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11月に工房の近くにオープンするカフェスペースではこのブレンドを微調整したものをご提供する予定です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

焙煎記録:ブレンド「孤客」

9月の定期便ブレンド「孤客(顧客)」です。

中国、唐の時代の詩人 劉禹錫(りゅう うしゃく)の 「秋風引」という詩から名前を拝借しました。

何處秋風至   どこからか秋風が吹いてきた

蕭蕭送雁群   ぴゅうぴゅうといって雁の群れを送ってきた .

朝來入庭樹   朝がた庭の樹に吹き入って

孤客最先聞   孤独な旅人がいちばん先に聞いた.

 

今回の豆は、エルサルバドル パカマラ、マンデリン アチェ プロアドミール、 コロンビア スプレモ、ブルンジ ブルボンAA の4種類を アフターミックス(それぞれに焙煎してからブレンドすること)しました。

どれも豆の粒が大きいのが特徴です。

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マンデリンプロアドミール スマトラ半島北部のアチェ州で生産されており、プロアドミールというのは商標のようなものです。

最近はなかなか良いマンデリンに恵まれず、価格も高騰していて、難しいです。

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シングルならばフレンチローストまで持って行くのですが、今回はブレンドなので、2ハゼ直前までで煎り止め。

焼き上がりはが、生豆の状態では想像できないくらい、ふっくらつやつやになるのも、マンデリンの特徴。

 

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エルサルバドル パカマラ温泉。 温泉水で精製しているのでこの名前になったそう。パカス種とマラゴジッペ種の良いとこどりのかけ合わせ品種。

粒が大きう甘味があるのが特徴です。パンチに欠ける感じもありますが、焙煎度によって味がどんどん変わる、素直な豆だと思います。

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焙煎は中煎り。イチハゼまで強く火力を使い、ハゼたらすぐに弱火に。

 

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コロンビア スプレモ。スプレモは粒の大きさを表し、一番大きなものをスプレモと呼びます。

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こちらも中煎り。煎り方はパカマラとほぼ同じで。

 

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ブルンジ ブルボンAA  アフリカの豆にしては大きめで、全体のバランスとして粒の大きさを揃えるのにちょうどよい豆です。

個性はそれほど出ない、優しめの味わい。

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イチハゼまで火力を強めで煎り、ハゼたらすぐ火力を落とし、イチハゼが終わってから再度火力を上げて、ニハゼまで持って行きます。

苦みと甘味を出来るだけ引き出してブレンドのアクセントに。

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アフターミックスして完成。どれも大粒できれいに揃っています。

焙煎記録:ブレンド「百日紅」

8月の定期便ブレンド「百日紅(さるすべり)」

7月から9月頃まで紅色の花を咲かせる樹木の名前です。幹がつるつるしていて猿も滑る、と言われるところからこの呼び名に。

5種類の豆をプリミックスして夏祭りのようなにぎやかな風味に。

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コロンビア スプレモ。スペシャルティではないけれど粒は大きくきれい。虫食いがやや多いので丁寧に拾う。

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メキシコ クルスグランデ。だいぶ乾いて来ているけれど、メキシコ特有の苦みを活かす。

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エチオピア イルガチェフェG2。小粒なので、プリだと早く火が入るので、ホットだとモカ特有の香りはやや落としてしまうけれど、

アイス珈琲にすると軽めの酸味がしっかりわかる。

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ブラジル サントスno.2 相変わらずハンドピックが大変な豆。10%~15%弾く。

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ペルー ペルビアンゴールド。とろみのある口当たりと甘味が特徴の豆。以前はペルーマチュピチュという名前だったのが最近変わったそうです。汎用性の高い豆。

店主も大好きです。

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プリで、3.6kg 全体にバランスは取れていて、特にアイスにしたときの苦みにとげがなくていい出来です。

最初は火力強め。1ハゼで落として、60~90秒。

 

焙煎記録:ブレンド「蛍」

定期便ブレンド「蛍」です。

蛍と言いますと、室町時代の小唄集「閑吟集」の

我が恋は 水に燃え立つ蛍々(ほたるほたる)物言はで笑止の蛍

江戸中期の民謡集「山家鳥虫歌」の

恋にこがれて鳴く蝉よりも 鳴かぬ蛍が身を焦がす

が思い浮かびます。

文学少女だった中学生時分に出会った歌でいまでもこの季節になるとふと思い出します。

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メキシコ クルス グランデ。欠点豆少なく、青みの強い中サイズの生豆。

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タイ チェンライ オリエンタルファズ

だいぶ乾いています。注文してもパストクロップしか入らないので、早くニュークロップにお目にかかりたいところ。

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2種類をプリミックス。タイの甘い香りとメキシコのキレのある酸味がマッチしています。

イチハゼまで火力強め、そのあと火力を落として約2分。

タイは、ガスが多い豆です。焙煎したてはやや尖りが出ますが、

抽出時の膨らみは素晴らしく、エクレアのような甘い香りがクセになるおいしい豆です。

味は際立った個性はないため、ブレンドの中和要素としても活躍します。

 

焙煎記録:ブレンド「風炉」

 

5月の定期便ブレンド「風炉(ふうろ)」です。

(4月の定期便ブレンド「春灯」はエチオピア グジ クオリティ1とペルーマチュピチュ、バリ インテンデワタでした。記事のアップが間に合わず割愛します)

5月は、バリ インテンデワタ ワイニ―ナチュラルと、マンデリン プロアドミールのインドネシアコンビをメインに、タイチェンライをつなぎにして、エチオピア グジで華やかな香りをアクセントに。

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バリ。強烈なワイニ―の香り。生豆は例えて言うなら自家製の梅酒の梅の実の部分のような甘酸っぱい香り。

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マンデリンは豆の状態がとても良く、きれいなウォッシュド。

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4種のプリミックスで、イチハゼで煎り止めし、苦みを抑えました。甘めの香りとすっきり感のあるブレンドです。

焙煎記録:ブレンド「紅気」

3月の定期便ブレンド「紅気(こうき)」です。

山口誓子の俳句

桜咲く前より紅気立ちこめて

より名前を拝借。

タイチェンライとペルーをベースに、7種類の豆をプリミックス。焙煎度は中深煎り。

タイが甘みを、エチオピアとバリが香りを膨らませ、ペルーが落ち着いた苦みで味わいをまとめている感じです。

シングルオリジンは、豆の個性や特徴を引き出すことを重視しますが、ブレンドは狙った味に着地させることを重視しますので、同じ焙煎でもそれぞれ違ってどちらも楽しい。

ブレンドが狙い通りに着地した時は、よしっ、とガッツポーズします。

※以下生豆の写真はハンドピック前のものです。記録のために、写真はたいていハンドピックする前に撮ります。

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タイチェンライ オリエンタルファズ。

そろそろニュークロップが来る頃ですので、だいぶ乾燥してきています。今期は粒が小さめで不良豆も多かったですが、甘みは相変わらず安定しています。ひとつ前のロットははシングルで出す事が多かったですが、今期はブレンドのベースと味の中和に大活躍でした。

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バリ インテン デワタ ワイニ―

濃厚な香りがたまらない豆です。甘く、重みのある味わいがアクセントになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

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メキシコ クステペックSHG

ちょっとだけ使用したので、特徴はあまり味わいには影響していません。

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コロンビア メサ デ  サントス

有機JASのカトゥーラ種。こちらもちょっとだけなので、味わいにはあまり影響なし。乾いてしまっているので今回のような複合的な味わいのブレンドにそっと加えた感じ。

 

 

 

 

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東ティモール

オーガニックだけど大粒できれいな豆です。こちらも少量。

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エチオピア グジ クオリティ1

豆もきれいだし、華やかで抜けるような香りが特徴。最近の浮空のブレンドには欠かせなくなってきました。シングルだと強すぎる酸味も、カップリングによって驚くほどのまろやかさに変わります。

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ペルーマチュピチュ。

深煎りで真価を発揮しますが、今回はプリなので1段階軽めに。

をまとめる要の役目。

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プリミックス、4kg。今回は10バッチ焼きました。

焙煎前後のハンドピックで4%ほど弾きました。多い時は10%くらいははじくのでまあまあかな。

 

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完成。

甘みがあってバランスの良い仕上がりになりました。