パナマ ボケテ グラン・デル・バル・ティピカ RA

北米と南米の境に位置するパナマ共和国。

北のカリブ海と南の太平洋に挟まれているこの国はインディオの言葉で「魚が豊富」という意味を持っています。

スペイン、コロンビア、アメリカの統治を経て、1999年に共和国として独立しました。

グラン・デル・バル・ティピカを生産しているのは、RA認証農園Cafetalera Fernandezのリカルド氏。

1946年に、18歳だったリカルド氏は進駐軍として日本に1年間滞在したことがあるそうで、とても親日家だそうです。

ティピカはアラビカ種の中でも原種に近く、野性味ある味わいの豆です。

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粒が揃っていてきれいです。丁寧に水洗されています。

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焙煎は2ハゼ前で止め。1ハゼ直前にになんともいえない甘い香りが漂いました。このタイミングの香りは一瞬ですが、豆のポテンシャルが良く表れると思います。

焼き上がりはちょっとごつごつした岩っぽい肌目です。酸味をしっかり残しつつ、甘い香りが楽しめます。

パプアニューギニア トロピカルマウンテン

総合商社兼松さんが、パプアニューギニアのコーヒー産業の政府機関である「Coffee Industry Corporation LTD」通称「CIC]と

7年越しに共同開発したプライベートブランド「トロピカルマウンテン」です。

生産者と流通者の長年の努力の結晶です。

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今回焙煎した分はパースト(昨年度収穫分)でやや水分が抜け乾いていましたが、粒は大きくとてもきれいな豆です。

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焙煎はミディアムで。一ハゼ直前の香りの膨らみが素晴らしく、濃厚な甘みを感じさせました。

トロピカルマウンテンという名の通りの豆だなあという印象。

パーストでも軽やかな酸味がしっかり残っていて、一口目のインパクトは強く、フルーティな酸味がほんのり抜け、後味の引きの良いすっきり感もありました。

後味の引きの良さで全体の印象はマイルド。同じパプアでもシグリとはまた違った魅力がありました。

秋入荷予定のニュークロップではもっとフルーティさが強く出てくれそうで、コンテナの到着が待ち遠しい豆です。

グァテマラ アンティグア ラ・ホヤ農園

 

APCA(アンティグア生産者組合)主催のカップコンテストで二位を獲得した高品質な豆です。

ラ・ホヤとはスペイン語で「宝石」を意味し、農園内には鹿が生息し、時にはピューマも姿を現すという野性味溢れる産地です。

標高は1600m~1900m、山合いの美しい農園にいつか訪れてみたいと思いを募らせています。

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ハンドピックの必要がないくらいきれいな状態でした。水洗加工がしっかりしていて、焙煎時のチャフも少なかったです。

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焙煎は、二ハゼと同時に終了。酸味を殺さずすっきりめに仕上げるため余熱もほぼ使わず。グァテマラらしいフルーティな香りを放っています。

予想より酸味が控えめでフレンチプレスでもいやみなく飲めるすっきりした味わいになりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コスタリカ アキアレス

コスタリカは中央アメリカ南部の、南太平洋とカリブ海に挟まれた国です。

コスタリカというのはスペイン語で豊かな海という意味を持ちます。スペインからの独立ののちは、ラテンアメリカでもっとも長く民主主義が続いているの安定した国家です。

アキアレス農園はカルタゴ州トリアルバという地区にあります。

農園内には4つの湧き水と31の水路が整備され、潤沢な水が確保できることで品質の良いコーヒーが生産されているとこのことです。

土地を住民に寄付するなど、地域コミュニティに利益を還元していることが評価され、RA(レインフォレストアイアランス)認証を受けています。

標高は900m~1200mとコーヒーの産地としては低地にあり、豆は酸味が少なくマイルドで柔らかい印象があります。

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生豆はグリーンが強めで、粒はそれほど大きくありません。加工はウォッシュドで、欠点は少なくきれいな豆でした。

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焙煎は二ハゼを聞いて火を止め、余熱でさっとはぜさせてから冷却。

シワの伸びがよく、余分な焦げも出ず、豆面の良い仕上がりとなりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

コロンビア スプレモ カフェインレス

カフェインレスを試し焙煎。

スプレモとは、コロンビアの豆の粒の大きさの基準で、一番大きいものを指します。

通常のコロンビア スプレモに比べやや小さく感じました。

しっかり水洗してあるのでつるつるした豆肌で色が濃いのが特徴です。

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写真右:カフェインレス 左:通常の豆

ハンドピックにやや時間がかかります。特に加工の段階で欠けたり割れたりしたと思われる豆が多いです。

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イチハゼまでの時間が長く、チャフ(豆の薄皮)の飛びはほとんどなく、煙も少なめ。

豆の水分量が均一化しているため、焼きむらが出にくく、手回しには向いているように思います。

焙煎度は手回しロースターのいちばん得意とする中深煎り。ニハゼのピークまで聞いてから冷却。

煎りあがりにオイリーさ出ません。

100gの生豆に対しての仕上がり量は通常のものとほぼ変わらず、目減りは25%程度でした。

 

味わいは甘味が強く、酸味はほとんどなし。これは豆の特徴ではなく焙煎度に拠るものだと思います。

ボディが弱いな、という印象は残りました。

 

 

 

カフェインレスコーヒーについて

3月より、カフェインレスの豆の販売を行います。

それに先立ち、カフェインレスとはなにか、を簡単にご説明します。

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コーヒー豆はこんな成分で構成されています。

・多糖類・・・・・・・35~45% 糖と言っても甘さのことではなく、繊維を指します。

・たんぱく質・・・・11~13%  体を維持するのに必要不可欠な栄養素。プロテイン。

・脂質・・・・・・・・・10~20% リノール酸、パルミチン酸などの油分。

・少糖類・・・・・・・5~9% 甘さを感じる成分(ショ)糖のことです。

・クロロゲン酸+その他酸類・・・5~10% 酸味を感じる成分です。クエン酸、リンゴ酸、キナ酸、リン酸なども含まれます。

・カフェイン・・・・・1~2% 覚醒効果、利尿作用、消化助長、血管拡張作用、基礎代謝促進なのどの薬理効果のある成分。

・アミノ酸・・・・・・2%前後 たんぱく質を構成する分子で、旨みを感じる成分。

(品種や生産環境よっても成分の含有量に違いがありますがここでは、浮空で販売している主なものアラビカ種の、乾燥した生豆の状態、を参考としています)

 

珈琲と言えばカフェイン、カフェインと言えば珈琲というくらい切っても切り離せない特徴なのですが、

宗教的な理由で禁じられている、カフェイン耐性のない体質である、ヨガや断食などの健康法を実践している、妊婦なのでリスクを避けている、など、さまざまな理由でカフェインを摂取しない(出来ない)方もいらっしゃいます。

珈琲の香りや味は好きだけれど・・・・。飲みたいけど飲めない・・・・。という方のためにコーヒー豆の成分からカフェインだけを除去したものがカフェインレスコーヒーです。

カフェインが大丈夫な方でも、眠れなくなるのを防ぐために夜の一杯をカフェインレスにする、長時間トイレに行きにくい仕事をしているのでカフェインレスがいいという方もいらっしゃると思います。

また、小さな子どもさんでも一緒に楽しむことが出来ます。

 

コーヒー豆からカフェインを除去する方法は大きく分けて2通りあります。

ひとつは、水洗式。

水の中にカフェインを溶かし出してから、乾燥させるという方法です。ただ水に浸すだけでは他の成分も一緒に溶け出してしまうので、あらかじめカフェイン以外の成分を溶かしだして飽和させた水に生豆を浸します。そうすると、カフェインだけが水に溶け出すのです。これをスイスウォーター式と言います。

もうひとつは、二酸化炭素式。

圧力と温度を調整し、液体二酸化炭素の中にカフェインを溶かしだす方法です。生豆を磨いてから、水分を含ませ約2倍ほどに膨張させた生豆を液体二酸化炭素に浸します(温度22~25度、70~75気圧)。この豆から、低圧に保たれた真空ポンプを使って水分を吸いだし、風力で乾燥させます。風味成分を残したままカフェインだけを除去する有効な方法です。

※二酸化炭素は通常は気体ですが、圧力をかけることで気体と液体の両方の性質を持った状態(超臨界)にすると、さらにカフェインの除去率が高まります。

どちらの方法でも特殊な薬品の使用などはなく、体に安全なものであり、安心してお飲み頂けます。

 

価格について

カフェインレスの豆を販売することについては時間をかけて検討しました。

生豆の価格が通常のものより割高なこと。

輸入に頼るコーヒー豆は価格の変動が激しく、通常の豆ならば別の豆に切り替えるなどの対処も出来ますが、もともと種類の少ないカフェインレスの豆では切替が難しくなります。

そのため販売価格が通常のものよりも高くなります。

 

いろんなお客さまに幅広く珈琲を楽しんでいただきたいという思いがあり、メニューに加えようと思っております。

カフェインレスについてのご質問などがございましたら、些細なことでもどうぞお気軽にお問い合わせ下さい。

 

販売の詳細につきましては今月末頃に掲載いたします。

どうぞよろしくお願い致します。

 

 

 

タイ チェンライ オリエンタルファズ農園

(タイのコーヒー農園を見学させて頂いた時のブログ記事より引用しています)

 

タイ北部、ミャンマーと国境に位置するチェンライ。

オリエンタルファズ農園は今中健太郎さんという日本人の方が現地の少数民族の方々と一緒に営んでいらっしゃる農園です。コーヒーのほかにも日本米や釜揚げ古代塩などを作っていらっしゃいます。http://orifas.com/

バンコク在住の友人のカフェでオリエンタルファズの珈琲豆を取り扱っていることがご縁になり、今回、今中さんに農園を案内して頂きました。

短い時間でしたがいろんなことを教えて頂き、とても勉強になりました。

オリエンタルファズは、開墾した土地に植樹するのではなく、標高1200mほどの山の中で森の木々をシェイドツリーとして植えられています。

ぎりぎりまで手を加えない自然の生態系の中でコーヒーの木が育っていました。

コーヒーの木は本来日陰を必要とする植物です。開墾した土地では効率よく生産が出来ますが、シェードツリー(日陰を作るための木々)が少ないところが多いのです。

いままで知っていたコーヒー農園(自分で見たことはなくて映像や本でなどの情報として知っているだけですが)の乾いたイメージと、この農園はあまりにもかけ離れていましたが、驚くというよりはなんだかとても安心する場所でした。

森のひんやりした湿度とみずみずしく実るコーヒーの実、つややかな葉とそれらを高く覆う木々に、言葉にならないくらい強く心惹かれました。

これから開墾された土地を森に戻していきたいと、さらりと言う今中さんの中に言葉ではなくただ当たり前に日々を過ごしていることの強さを感じました。

この農園で収穫された豆は、2012年2月にタイ・チェンマイで開かれた国際博覧会のロイヤルフローラ国際品評会で、タイ国内産のアラビカ種のコーヒー豆の最優秀賞を受賞されています。

けれど、品評会で賞をとっているから素晴らしい豆というわけではないと思います。

活き活きとした森があって、精霊信仰を持つ山岳民族のアカ族の方々が村全体でコーヒーと関わって、村の人と今中さんがお互いをリスペクトしあっているから豊かな収穫がある。森の生態系の中で、当たり前に当たり前のことが行われているから素晴らしい豆になるのだろうなと思いました。

この豆に宿っているなにかを引き出す焙煎が出来たら良いな、と思います。

生豆。

一般的な天日干しより長い時間(2週間)かけてじっくり乾燥させてあるそうです。

そのせいか、焙煎時の水分の抜けが良く、軽やかな焼き上がりになります。

味わいはまろやか。香ばしく、ほんのり甘味があり、柔らかな苦味の余韻が楽しめます。