ガラパゴス雑記

ガラパゴスについて。

私の中でほとんどバイブルと化している、堀江敏幸氏の「河岸忘日抄」(新潮社)の中に、このガラパゴスが出てきます。

異郷の河に浮かぶ船を住処とし、時折やってくる郵便配達夫に珈琲をご馳走していても、好奇心のまま船に遊びに来るロマの少女のためにクレープを焼いていても、とりとめもなく音楽や文学について思考をし続けている「彼」。

正体の見えない息苦しさから逃避した隠れ家生活のなかで、些細な出来事にもひとつひとつ丁寧に意味付けをしながらも、ためらい、逡巡し、どこか上の空で暮らす「彼」と、船の大家である偏屈で謎めいた老人とのやり取りの中に、このガラパゴスが登場します。

なぜこのくだりで使われる珈琲がブラジルやコロンビアやキリマンジャロではなく、ガラパゴスだったのか。

何度も繰り返し読んでいくとその意味に気づかされます。

ご興味のある方はどうぞ読んでみてくださいませ。本当に本当に、素晴らしい小説です。

ガラパゴス

ガラパゴス 008

ガラパゴス諸島は、南米エクアドルの沖合い1000kmにある、赤道直下の島群です。

ダーウィンの進化論(種の起源)で有名ですが、孤絶した環境で昔のままの生態系が保たれているため、動植物が環境によって違った進化のプロセスを辿るとことが顕著にわかる例として保護されている地域で、世界遺産にも登録されています。

コーヒー農園は標高800mくらいで、コーヒー産地の中では比較的低い地域にあります。法律で農薬や化学肥料の使用が禁止されているため、ガラパゴス産の農作物はすべて完全オーガニックです。

生豆は小売して下さったお店でそれなりの期間保管されていたようで、かなりエイジングされていました。しっかり乾燥しているため豆が硬く、色も白っぽいです。欠点豆は少ないのですがシワのよった豆が多いのでうまく熱をいれてこのシワを伸ばしきるために焙煎に工夫が必要になります。

ガラパゴス 015

【焙煎】

温度を上げすぎると芯まで火が入る前に表面が焦げてしまうので、最初から熱を逃がしつつ煎るというより熱風であぶるような感じで焼いていきます。煙は、よくお茶屋さんの店頭で、紙コップで売っているグリーンティのような、甘い緑茶のような香り。

イチハゼは軽快な心地よい大きな音でパチパチッっと聞こえてきます。イチハゼまでの時間を長めに取っているので、二ハゼが聞こえた瞬間に火を止めました。

オーガニック独特の干し草っぽい香りと、ほんの~りと黒飴を薄めたような甘さ。もおすすめの飲み方は常温です。

※現在は販売の予定がありません。