焙煎記録:ブレンド「花眠」

風狂ふ桜の森にさくら無く花の眠りのしづかなる秋  水原紫苑

9月の定期便ブレンド。

パナマ、イエメンモカ、タイチェンライ、マンデリンの4種。

・パナマ ハートマン ティピカ WINNEY

ブレンド花眠1

果肉がついたまま天日干しすることにより、甘酸っぱいドライフルーツのような香りがします。色も茶色く皮が残った状態。

ブレンド花眠2

甘酸っぱい発酵臭を消さないように、1ハゼ後すぐに冷却。色ムラがあります。酸味も特になく、しっかりした乾パンのような味わい。

・イエメン モカ エリヤニ

ブレンド花眠3

ハンドピックに時間のかかる豆ですが、こちらもフルーティな香り。パナマとの相乗効果を狙っています。

ブレンド花眠5

酸味が強く出ないよう、2ハゼ直前まで焼きます。

・タイチェンライ

ブレンド花眠7

今回のブレンドはナチュラルづくしで。いつもながらきれいで欠点豆の少ないタイ。

ブレンド花眠8

2ハゼピークで冷却。シングルでも十分実力のある豆ですが、マイルドさと甘みはブレンドのかなめにもなります。

・マンデリンG1

ブレンド花眠9

欠点豆が多く、安定していないマンデリン。最近価格の高騰により、良いマンデリンが出にくくなっていて困っています。

G1でもけっこうばらつきがあります。

ブレンド花眠10

2ハゼまでしっかり焼き込みます。ブレンドの配合にはアクセント程度しか使いませんが、ぐっとコクが出て味が締まります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

焙煎記録:ブレンド「迎え火」

お盆の焙煎となりましたので、「迎え火」と名付けました。

火を焚いてご先祖様をお迎えし、豆に火を入れて焼き、日常と非日常のあわいで夏の夜を過ごしました。

5種類のアフターミックスです。

ブレンド迎え火2

ルワンダ コーパック。

コーパックとは農協のような組織を意味します。小規模農家で生産された豆を地域ごとに集めてから輸出しています。

柔らかくマイルドな味わいの豆です。2ハゼまで聞いてから冷却。

ブレンド迎え火4

ハワイ オアフピーベリー。

ハワイといえばコナが有名ですが、オアフ島で収穫されるものもさっぱりとした味わいで、コナに引けを取りません。

ブレンド迎え火5

2ハゼまで焼きます。前の工房より通気を良くしているので、しっかり焼きこんでも焦げ感が出にくくなりました。

ピーベリーにしては粒が大きいです。

ブレンド迎え火11

ハワイ オアフ。

粒が大きく、茶色味がかっています。

ブレンド迎え火12

同じく二ハゼまで。焼き上がりを食べて見ると、苦みも酸味もなく香ばしさが際立っていました。

ブレンド迎え火14

ケニア マサイ。

粒は揃っていてきれいです。アフリカ高地の豆はどれもそうですが、殻豆がとても多いです。

1ハゼが勢い良すぎて弾けている感じ。2ハゼの始まりで冷却。

※生豆はカテゴリのアフリカのページをご参照ください。

ブレンド迎え火9

マラウイAA  チャカカ。

アフリカ南東部の小さな国です。日本の北海道と九州を合わせたくらいの面積。

近年注目が集まっている国です。

ブレンド迎え火8

酸味がが出るかな、と思いや深めに焼きましたが、思ったより苦みがどっしりしている豆でした。

今回のブレンドはこの豆に味が左右されてしまったかなと思います。もう少し軽めに仕上げても良かったかなと思います。

ブレンド迎え火7

全体として狙いはハワイのさっぱり感にアフリカの香りの高さを加えながら、酸味を抑えた深煎り、でした。

マラウイの苦みにちょっと翻弄されてしまい、やや重めのブレンドになりました。

まだ暑い日が続きますので、冷たい珈琲におすすめかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新工房、始動。

ようやく移転完了し、8月13日お盆のお墓参りの後、新工房で焙煎を始めました。

8月定期便第二便 4

川崎市でのカフェ時代からの浮空の看板を入り口にかけて、気持ちをあらたに。

8月定期便第二便1

焙煎の煙で茶色く変色した麻袋。前の工房でずっと壁にかけていたものです。

8月定期便第二便 2

まだこまごましたものを荷解きしていないのできれい。

8月定期便第二便 5

祖父の代から実家にある文机を棚代りに。けっこう使い勝手が良いです。

ここで、気持ちを新たにまた焙煎を続けて行きます。

これからも浮空をよろしくお願い致します。

 

 

 

 

 

工房移転のお知らせ

8月1日より、焙煎工房を移転いたします。

新工房は、福岡県直方市です。現住所から車で30分ほどの場所です。

通信販売はこれまでと変わりません。

毎月11,12日と27,28日は工房におりますので、お近くのお客様はご予約いただいた上で直接お渡しも可能になります。

今後ともどうぞよろしくお願い致します。

浮空

 

焙煎記録:ブレンド「打水」

IMGP9788

7月の定期便ブレンド「打水(うちみず)」

アイス珈琲や、珈琲ゼリー、グラニテなどのひんやりデザートへのアレンジを意識したブレンドです。

苦みをしっかり出し、アイスクリームやシロップと併せても香りが立つような配合を考えました。

・コロンビア ナリーニョ

・マンデリン トバコ

・ケニア マサイAA

・エクアドル ガラパゴス

・ジャワロブWIB-1

の5種類を使いました。

ジャワロブは隠し味なので、コロンビアとプリミックス、あとはすべてアフターミックスです。

それぞれに違う苦みを持っているコロンビアとマンデリンを深煎りで、ベースにして、ケニアの香りと酸味を加えました。

エクアドルとジャワロブはアクセントに。

ホットだとやや苦みが勝ち過ぎるので、豆の量を少なめにドリップをおすすめします。

アイス珈琲のほうが本領を発揮すると思います。

 

ケニア マサイAA

ケニアはアフリカ中央東部にある、インド洋に面した国で、エチオピア、タンザニア、と並んでコーヒーの栽培が盛んな国です。

アフリカの豆は比較的酸味の強いものが多いのですが、国ごとに酸味の特徴が異なっていて比較すると面白いです。

ケニアの酸味は、熟成した果実が発酵を始める時のような濃厚な香りを伴った酸味です。ワインで喩えるとフルボディという感じ。

好みは分かれるところだと思いますが、気に入るとクセになります。

AAというのは等級をあらわし、もっとも品質の高いものです。

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チャフがたくさんでるな、という感じ。渋皮のたくさんついている生豆。粒はそろっていてとてもきれいです。

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2ハゼを聞くと同時に煎り止め。殻豆が多くハンドピックにやや手間取りますが、甘酸っぱく濃厚な香りがたまりません。

 

エクアドル ガラパゴス サンタクルス農園

南米エクアドル本土から約1000km離れた太平洋に浮かぶガラパゴスの豆です。

ガラパゴスは、イザベラ島、サンタクルス島、サンティアゴ島などいくつかの島から成り立っています。

絶海の孤島という地理条件から生物が独自の進化を遂げていて、世界的な研究対象となっています。サンタクルス島にはダーウィン研究所もあります。

法律上、外部からの農薬や化学肥料などの持ち込みが一切禁止されているめ、島内での農作物はすべて無農薬有機栽培です。

コーヒー自体は1869年にフランスの探検家が苗木を持ちこんだとされていて、古来から独自の進化をしてきたわけではありません。

サンタクルス農園は1990年に現在の農園主ゴンザレス家が古いプランテーションを発見し、栽培を再開したものだそうです。

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ガラパゴスを焙煎するのは2度目ですが、前回はエイジングされた豆だったので、ニュークロップは初見。つややかなグリーンのきれいな豆です。欠点豆もほぼない状態。

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2ハゼと同時に煎り止め。膨らみがよく、センターカット(豆の真ん中のライン)もとてもきれいに出ています。

ブルボン種(アラビカ種、ティピカの突然変異で生まれた豆)100%で香りが高くこくもあります。風味がしっかりしているので、薄めにドリップして2杯、3杯と飲める珈琲です。