二年目を迎えて

珈琲豆の通販を開始してまもなく一年になります。

神奈川でのカフェ時代から応援してくださっているみなさま。福岡で通販をはじめて浮空を知って下ったみなさま。

本当にありがとうございます。

この一年、浮空が次に出来ることはなんだろう、おいしい珈琲を飲んでいただくために出来ることはなんだろう、といつも考えてきました。

浮空の考える「おいしい珈琲」の三原則は、焼きたて、挽きたて、淹れたて、です。

豆の等級による味の違いはない、とは言えませんが、グレードの高さだけが味につながるわけでもありません。浮空に出来ることは

  • 生産の環境をきちんと調べて仕入れること。
  • 生豆を手作業で丁寧に選別すること。
  • 豆の良い個性を引き出す焙煎をすること。
  • ご注文を受けてから焙煎することで、鮮度の高い豆をお届けすること。

ここで、お客さまにバトンを渡すことになります。

コーヒーの淹れ方にはいろいろありますが、ペーパードリップにしろ、ネルドリップにしろ、フレンチプレスにしろ、美味しいコーヒーを飲んでいただくためには時間と手間がかかります。

その時間ごと、珈琲を楽しんでいただけたら嬉しいなあと思います。

少しだけ早起きして、少しだけ夜更かしして、珈琲をドリップする時間を楽しいと思っていただけるよう精一杯丁寧に豆をご用意させていただきます。

楽しいことがあった日はそれを思い出しながら珈琲を淹れる。嫌なことがあったときは珈琲を飲んでひととき忘れる。浮空の珈琲が生活のなかの気やすめであったら良いなあと思うのです。

気やすめ、という言葉はマイナスの意味にとられがちですが、「気をやすめる」ってけっこう大事なことなんじゃないかな、と思っています。

これからもどうぞ浮空をよろしくお願い致します。

店主拝

フレンチプレス

ひさびさのプレス。

フレンチプレスでドリップされているお客さまからご注文を頂いたので、浮空の看板豆のタイチェンライ オリエンタルファズ農園をプレス向けに深めに焙煎して試飲してみました。

自分で飲むときはほぼペーパードリップなので、わくわく。

写真の色がちょとアレですが。

タイチェンライ オリファズ フレンチプレス ブログ 001

アジアの旅に一ヶ月間持ち歩いたけどほとんど出番がなかったボダムくん。リュックにそのまま入れてけっこう手荒に扱ったけど割れる気配なしの丈夫なこです。

ミルを一番粗引きに設定してざっくり挽きます。

タイチェンライ オリファズ フレンチプレス ブログ 006

高めの湯温で注ぎます。焼き立てをなめてました。膨らみすぎ!溢れそう!

タイチェンライ オリファズ フレンチプレスブログ 008

愛用のガラスマドラーで攪拌して30秒ほど待ちます。ここでよく混ぜておくのがポイント。

タイチェンライ オリファズ フレンチプレス ブログ 010

どうしてもプレスの粉っぽさが苦手なので、私はペーパーでもう一度漉します。

味わいは、ペーパーの時より苦味がぐっと引き締まった感じ。甘味も強く出ています。酸味はもともと少ない豆なので、飲みやすいです。

力強いタイチェンライを味わえます。

普段のご注文時にはマイルドな仕上がりになる中煎りで販売していますが、リクエストがございましたら深煎りもご用意出来ます。ボディの強い豆がお好きな方はぜひお試し下さい。

 

 

eatrip展に行ってきました

フードディレクター、野村友里さんの「eatrip」という活動の一環として現在博多で行っている展示、eatrip  fukuoka 展に行ってきました。

eatripのコンセプトは

食は万国共通。
身体の中に入り体と心を作る。
言葉が通じなくても、時にどんな言葉より説得力をもち、
そして五感を刺激し人の生き方に、記憶に、たくさん影響する。
食からつながり、伝わっていき、人生を文化を作る。
“eatrip”とはそんな旅をし続けること。

※http://www.babajiji.com/eatrip のサイトより抜粋

野村さんたちがこれまで旅を通して出会ったものや、福岡で出会った食材などの展示です。旅のドキュメンタリー映画「eatrip」も上映されていました。

展示作品は食材だけでなく、展示用のテーブルや椅子、棚などもすべてハンドメイドの職人さんたちの手によるもので、工房も紹介されていました。

展示してある食材はすべて購入が可能なこと。写真の撮影が自由なこと。その自由度の高い展示にすっかり魅せられてしまいました。

そこにはスローガンのようなものはなにもなく、エコや自然保護、食品の安全をことさらに訴えるわけでもなく、ただ、あるがままのカタチで昔から受け継がれ、時の洗練を受けた静かな食べ物たちが並んでいました。

体に良いことだけを追い続けたらなにかが歪んでしまうと普段から思っている私にはとても共感性の高い展示でした。

購入可能とあって、あれも欲しい、これも欲しいと物欲が沸いてくるところだけが難点!笑!

今回はスマホで撮ってるのと映画の上映のために場内の照明が落としてあるので、展示の良さを伝えるにはちょっと難ありの写真ですがご紹介。

いろんな場所から集まった食材と、福岡の地のもので作られた食材たちが、使い込まれた風合いのテーブルや廃材をリメイクした棚やオブジェにしっくりと馴染んでいます。

作品には、ひとつひとつ万年筆で書かれた手書きの説明が添えられています。

果物の酵母や、塩漬け、シロップなど。

ドライフラワーがすごく素敵だった。瓶漬けされた食材同様、時間の経過、というものを切り取った美しさ。

ひとつひとつの商品のこだわりが、伝わってきます。どれも包みが素敵。ロゴやマークも見飽きません。

ワイン。飲みたいけどお酒弱いんだなあ・・・・

そして今回一番の収穫だった飲物の展示。

アジアに旅に行って、タイ、チェンライのオリエンタルファズ農園で森の中で栽培するコーヒーに出会ってから、開墾された土地ではなく森林の中で育てるコーヒーについて興味を持ちいろいろと調べていて、タイとはまた違った個性を持つベレデ・ゲラの生豆を仕入れてみようかな・・・と考えていたところに、偶然その豆が展示してあるとは。

早速購入して試飲してみました。豆は小粒で丸みがあり、味わいはすっきりしつつ苦味はやや強め。自分でも焼いてみたいなあと思いました。とは言っても仕入れの単位がちょっと大きい会社での取り扱い生豆なので、大きな注文がないと仕入れにくいので、みなさんのリクエストをお待ちしています。笑。

森林コーヒーに興味を持ってくださった方は、まずはタイチェンライ オリエンタルファズの豆を飲んでみてください。みずみずしい森の中で自然の生態系に溶け込んだ活き活きとしたコーヒーの木から収穫される豆はほんとに美味しいです。

なんだか最後は浮空の宣伝になってしまいました。すみません笑。

福岡天神のイムズ8Fにて、2月11日までの展示です。見るだけでも楽しいと思うのでお近くの方はぜひ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タイ チェンライ オリエンタルファズ農園

先日、今回のアジア旅の最後に見学させて頂いた、タイ・チェンライのオリエンタルファズ農園から生豆が届きました。

12月のメニューですでに販売を開始しておりますので、旅の記録とはまた別に豆のことを少しご紹介させて頂きます。

オリエンタルファズは今中健太郎さんという日本人の方が現地の少数民族の方々と一緒に営んでいらっしゃる農園です。コーヒーのほかにも日本米や釜揚げ古代塩などを作っていらっしゃいます。http://orifas.com/

バンコク在住の友人のカフェでオリエンタルファズの珈琲豆を取り扱っていることが縁になり、今回、今中さんに農園を案内して頂きました。短い時間でしたがいろんなことを教えて頂き、とても勉強になりました。

オリエンタルファズは、他のコーヒー農園のように開墾した土地に植樹するのではなく、標高1200mほどの山の中で森の木々をシェイドツリーとして植えられています。ぎりぎりまで手を加えない自然の生態系の中でコーヒーの木が育っていました。

コーヒーの木は本来日陰を必要とする植物です。開墾した土地では効率よく生産が出来ますが、シェードツリー(日陰を作るための木々)が少ないところが多いのです。

いままで知っていたコーヒー農園(自分で見たことはなくて映像や本でなどの情報として知っているだけですが)の乾いたイメージと、この農園はあまりにもかけ離れていましたが、驚くというよりはなんだかとても安心する場所だと感じました。

森のひんやりした湿度とみずみずしく実るコーヒーの実、つややかな葉とそれらを高く覆う木々に、言葉にならないくらい強く心惹かれました。

これから開墾された土地を森に戻していきたいと、さらりと言う今中さんの中に言葉ではなくただ当たり前に日々を過ごしていることの強さを感じました。

この森はここにしかないけれど、タイ・チェンライだからではないのだろうなと思いました。オリエンタルファズだから、今中さんとその仲間たちだからこそ作れるコーヒー豆なのだと思います。もしも今中さんが南米にいたとしても、アフリカにいたとしても、オリエンタルファズはオリエンタルファズの豆を作るのだろうな、思うのです。

この農園で収穫された豆は、2012年2月にタイ・チェンマイで開かれた国際博覧会のロイヤルフローラ国際品評会で、タイ国内産のアラビカ種のコーヒー豆の最優秀賞を受賞されています。

けれど、品評会で賞をとっているから素晴らしい豆、だとは思いません。

活き活きとした森があって、精霊信仰を持つ山岳民族のアカ族の方々が村全体でコーヒーと関わって、村の人と今中さんがお互いをリスペクトしあっているから豊かな収穫がある。森の生態系の中で、当たり前に当たり前のことが行われているから素晴らしい豆になるのだと思うのです。

この珈琲に宿っているなにかを引き出す焙煎が出来たら良いな、と思います。そして、飲んでくださるみなさんはこの記事のこと全部忘れてシンプルにおいしいなーって感じてもらえたらそれがいちばんなんじゃないかと。

後日、旅の記録ブログの最後で詳細にご報告いたします。

 

 

 

20kg

お歳暮ギフトセット用の生豆20kgが今日届きました。

米俵みたいな袋に入っています。さすがに20kgは重い!

旅に出る前にハンドピックを済ませておくつもりですが・・・・間に合うかな・・

種類はまだ内緒。水都さんのHPでもうすぐ発表の予定です。

サンプルに頂いたミネラルウォーターで隠してます笑

ミネラルウォーターの詳細は↓からごらんになれます。

http://www.suito.gr.jp/line.html

コーヒーの産地巡りの旅に出ます

10月30日から11月28日まで、タイ、カンボジア、ベトナム、ラオスのコーヒーの産地を周って来ます。

アジアは、中南米やアフリカに比べれば知名度は低いですが、コーヒーの栽培がさかんな国がたくさんあります。

赤道を挟んで北部は、インドシナ半島の各国、インド、ネパール、中国。

南部は、インドネシア(バリ)、パプアニューギニア、東ティモールなどが主な産地になります。

今回は一ヶ月間という期間ですので、まずは前半戦として、赤道北部の国々を周ってみることにしました。

旅のルートは下記のような感じです。

バンコクから入り、数日滞在したあとカンボジアへ。シェムリアップを拠点にアンコールワットしばし観光。

その後プノンペンからベトナムのホーチミンへ抜けます。

ここからはガイドブックなどにあまり載っていない地方へ。

ベトナムのダラット、バンメトート、プレイクなどのコーヒーの産地を見学しながら北上し、いったんベトナム東部の南シナ海側へ抜けます。

ホイアンというところでしばし休憩して、再びカンボジアへ。

ストゥトレンを中継してラオス入りします。

シーパンドンというメコン川の要所を通って北上し、パークセーへ。パークセーはラオスのコーヒー産地の中心部です。

このあたり、ベトナム、カンボジア、ラオスの三カ国の国境一帯はスリーコーナーと呼ばれ、コーヒーの農園がたくさんあります。

パークセーからは国内線でルアンパバーンというラオス北部の観光地へ。僧侶と托鉢の町だそうで、ラオスの京都という雰囲気だそう)

ルアンパバーンからこの旅の予定のなかで一番恐怖のスピードボートで(急流に小さなボートで7時間。腰が持つのか・・)移動してタイ北部のチェンライとチェンライへ。

タイのコーヒーの産地の中心がここチェンライ、チェンマイです。先日福岡に遊びに来てくれたBayさんの携わるコーヒー農園もチェンライにあります。

また、今中さんという日本人の方がここチェンライで日本米とコーヒーの農園を経営されていて、(http://orifas.com/)こちらのコーヒーはタイの生豆コンクールで金賞をとるほどのものです。

そして、タイ王室が掲げるロイヤルプロジェクトコーヒーの農園もこのタイ北部に。出来ればこのあたり一帯を見学して、バンコクに南下し、帰国、という予定になっています。

屋台でご飯を食べ、ゲストハウス(安宿)に泊まり、ローカルなバスに何時間も揺られるという憧れのバックパッカー。念願かなってうれしいのですが、年も年なので(笑)あまり無茶はせず、安全第一でのんびり楽しんでこようと思います。

道中の様子はひとまず、SNSでネット環境がある限りご報告し、帰国したらゆっくりブログに旅行記を載せたいなと思っています。

今回まわる赤道北部の国々は、日本で一般的に飲まれているアラビカ種ではなく、ロブスタ種がメインの国なので、生豆の仕入れに行くというわけではありません。

産地の空気を吸って、生産者の方々の生活や収穫期のコーヒーの木をこの目で見ることが目的です。

浮空の珈琲ってなんだろう。。と考えてこんがらがっている頭をちょっと柔らかくして帰ってこられたらいいな、と思っています。

10月25日~12月3日まで、浮空珈琲の通販はお休みさせて頂きます。

帰国したらまたせいいっぱい丁寧に焙煎した珈琲を皆さまにお届けしたいと思いますので、ご理解のほどよろしくお願い致します。

ミネラルウォーター&珈琲のお歳暮ギフトもどうぞよろしくお願い致します(ペコリ)

浮空

Twitter :  https://twitter.com/norapenfree 

Facebook :http://www.facebook.com/yumi.shitama (Facebookページ:自家焙煎珈琲 浮空)

 

タイからのお客さま 後編

前回の続きです。

二軒目の喫茶店は、大名の「フッコ」さん。私が(勝手に)心の師匠と仰いでいるマスターのお店です。

今回はマスターがご不在で、普段は福岡空港の近くの姉妹店にいらっしゃるマスターがいらっしゃいました。

看板の写真を撮るBayさん。このポーズ。なんだかとても自分と同じ人種なにおいを感じます。

ドリップを真剣に見つめるBayさん。ちょんちょんちょんとお湯を落としていくので、とってもリズミカルなドリップです。

日本のほとんどの珈琲屋さんはアラビカ種しか置いていませんが、フッコさんではロブスタ種をストレートで飲むことが出来ます。

インドネシアの国営農場で作られている、ジャワロブスタ。きなこのような香りがします。ロブスタ種はインスタントコーヒーや缶コーヒーの原材料に使われる品種なので、安い、まずいという印象で語られることが多いのですが、このジャワロブはえぐみもしぶみもなく、ほんのり甘くてとっても美味しい。

浮空でも時々ブレンドに使っています。今度はストレートでだしてみようかなと思いました。

年代もののメニューとはかり。フッコは開店して33年になります。もとは別の場所にあったのですが、7年前の福岡西方沖地震で建物が倒壊し、現在の大名に移転されました。

ジャワロブスタ、ブレンド、そしてオレンジリキュールを使ったラテの三種類を頼んで二人で半分こしました。

カップは地元福岡の民窯、小石原焼と小鹿田焼。ぽってりした器は口当たりが優しいです。

自家製のクッキーは一枚20円。きなこ、ごまなど。お皿は小石原焼。飛び鉋(トビガンナ)と呼ばれる模様が特徴です。

満腹でも珈琲は別腹のふたりでした。

珈琲の流通や産地の話、豆の話、焙煎の話、私の英語力不足でつたわらないこともたくさんありましたが、すごく勉強になりました。

 

Bayさん、そしてBayさんを紹介してくださったバンコク在住の友人のひさちゃん、本当にどうもありがとうございました。

とてもとても楽しい時間を過ごさせて頂きました。

私は11月にタイ、ベトナム、ラオス、カンボジアのコーヒー産地をまわってきます。

農園や流通の現場をこの目で見られるのが楽しみです。