コロンビア アルト デル オビスポ

コロンビア南部、ウィラ県サンアングスチンの「アルト デル オビスポ」です。

サンアグスチンは、マグダレナ川が流れる山脈の高地で、標高は約1700m。小規模生産者が丁寧に生産しています。

豆の規格はエキセルソ。小粒な生豆です。果肉を除去した後、水洗、24時間の発酵処理をする、フリーウォッシュドという精製方法です。その後、天日で15日かけじっくり乾燥させています。

原種に近い「ティピカ」味わいが濃く、好きな品種です。

IMG_2937

虫食いが少々ありますが全体的にはきれい。焙煎してみるとチャフは多めでした。

IMG_2938

バランスの良い豆とのことでしたが、酸味をあまり強く出したくないのでやや深めに。1ハゼの後火力を落として熱を逃がしながら

2ハゼが来るぎりぎりまで。すっきりした味わいに仕上がりました。

 

 

 

焙煎記録:ブレンド「小満」

5月の定期便ブレンド「小満(しょうまん)」

小満とは、二十四節気のひとつで立夏から15日目(おおよそ5/21)頃を指す言葉だそうです。

秋に蒔いた麦の穂に実が入りはじめ、農作物が順調に育っていることにほっとする(小さく満足する)ことに由来しているそうです。

小満の次が芒種(イネ科の植物の種を指す)。沖縄ではこのふたつを併せて、小満芒種(すーまんぼーすー)と言い、梅雨をあらわす言葉として使っているそうです。

これを書いているまさに今日明日と沖縄に仕事が入っていたのですが、台風6号で欠航。明日出発に変更しました。

まさに、すーまんぼーすー。

話が逸れましたが、清々しい新緑の頃、珈琲もホットからアイスに衣替えのシーズンです。

ホットでもアイスでも飲めるよう甘みを強く出したやや深めの焙煎のブレンドに仕上げました。

初見の豆はないので、生豆の写真は省略しています。(HP左のメニューバーの各カテゴリからご覧ください。)

IMG_2765

タイチェンライオリエンタルファズ農園 今回のブレンドのベース。1ハゼ後火力を落としゆっくり焼いて、2ハゼを聞いてから冷却。

甘みのある香りとマイルドさが特徴。無農薬有機栽培です。

IMG_2766

マンデリンG1 年々ハンドピック量が増えるマンデリン。なかなかいい生豆に会えていません。

2ハゼ終了までじっくり焙煎します。香ばしくとろみのある甘みを引き出します。

IMG_2767

モカマタリ フルーティな香りをアクセントに使います。1ハゼはが弱いので、火力を落としてゆっくり芯まで熱をいれます。

IMG_2769

グァテマラ ブルーレイク。 シングルではカカオに似た香ばしい香りにほど良い酸味が合わさり、とても美味しい豆。

今回はタイチェンライベースで全体にマイルドなので、モカと同じくアクセントとして使います。これで全体にメリハリが出てきます。

 

モカ マタリ

中東、アラビア半島の南部に位置するイエメン共和国。

日本よりやや広い面積の大部分が砂漠で、定住する農耕民族は少なく、遊牧人やサウジアラビアの石油産業への出稼ぎ労働者も多い国です。

コーヒーの産地としては有名ですが、生産量はそれほど多くありません。

IMG_2610

モカ全般に言えることですが欠点豆が多く、ハンドピックに苦労する豆です。そのぶん香りは華やかですっきりした酸味が特徴。

ブレンドのアクセントにも重宝します。

IMG_2613

モカの特徴を活かした中煎り。雑味が出ないよう、焼き上がりに再度丁寧にハンドピック。乾燥が進んでいるので焼きすぎの豆をしっかり取り除きます。

フルーティなお茶のような味わい。

グァテマラ ブルーレイク SHB

火山の噴火活動によって形成された景勝地アティトラン 湖周辺で栽培されており、この湖にちなんでブルーレイクと名付けられています。

SHBとはスクリクトリーハードビーンズの略。グァテマラの生豆は産地の標高によって等級がわかれており、標高1350m以上の高地で生産されるSHBは最高級のグレードです。

IMG_2606

粒は小さ目。酸味と甘味両方を兼ね備えている豆なので、どちらの特徴を強く出したいかによって焙煎度が変わります。

IMG_2607

今回はやや深めに。二ハゼを聞いてから冷却。深めに煎っても苦みが強くなりすぎないのが長所です。

 

ニカラグア マラゴジッペ

カリブ海と大西洋に挟まれた中央アメリカに位置するニカラグア。

日本の1/3ほどの面積で、50万強の人口の4割が農作物の生産に携わっています。

主な農作物はコーヒー、バナナ、サトウキビなど。肥沃な火山灰性土壌は良質なコーヒーを育てます。

IMG_2600

コーヒーの原種に近いティピカ種の突然変異で生まれたといわれるマラゴジッペ種。別名エレファント・ビーンズと呼ばれているとても大粒な豆です。生産量が少ないため、価格は高めですが味わいは大きさに比例して大雑把な感じ。

IMG_2601

大味なのでその柔らかさを活かして、マイルドになるように焙煎。イチハゼは火力を落としてじわじわと中まで熱を通し、ニハゼ直前の、柑橘系の酸味をわずかに感じる位のところで煎り止め。

IMG_2604

右が一般的なサイズ。左がマラゴジッペ。

余談ですが、このマラゴジッペ種とパカス種をかけ合わせたパカマラ種は、味、見た目共に評価の高い品種です。

焙煎記録:ブレンド「空錠」

4月の定期便ブレンド「空錠(からじょう)」

空錠と人には告よ田打人  一茶

初夏、田植えの前の土起こしを「田打ち」というそうです。

朝早くから日暮れまで田に出て働くお百姓さんは、来客を迎える暇もなく、家の鍵は開いているから勝手にお入りよと、いうような意味合いだと思います。

いまは家の鍵をかけずに出かけるのはなかなか難しいことですがこんな風に心はのんびりとしていたいものです。

IMG_2463

インド モンスーン。薄い黄色の良く乾いた生豆。

IMG_2464

あっさりめに煎って香ばしさを出します。

IMG_2465

マンデリンG1 するんとした肌の生豆。ここ数年品質が安定せず虫食いが多いので入念にハンドピックします。

IMG_2467

二段階焙煎で。一ハゼの段階で一度冷却して水分をしっかり飛ばしてからもう一度焼きます。このくらいの煎りだとオパールのような複雑な色の豆肌。

IMG_2468

それでも深く煎りすぎないよう、2ハゼ直前で冷却。ここまで来るとつややかでしっとりした肌合いになります。

IMG_2469

インドとマンデリンの緩衝材的な役割でタイチェンライを少々加えます。

春の土が目覚めるような香ばしくコクのあるイメージのブレンドです。

 

 

 

 

 

焙煎記録:ブレンド「春霖」

3月の定期便ブレンド。

「春霖」別名なたね雨とも言う、春の長雨のことです。

草木の芽吹く香りを想起させるような香りの良い配合にしてみました。

IMG_2209

ベースのエチオピア グジ クオリティ1。生豆がとてもきれいで、今まで扱ったエチオピアの中ではいちばんべっぴんさん。

欠点豆が少なく、ハンドピックが楽でした。

IMG_2218

香り重視で、中煎りに。2ハゼを待たずに冷却。これをメインにします。

IMG_2219

同じグジをやや深煎りで。コクを出します。配合を少なめに、中煎りのものとミックスします。

IMG_2220

ペルー マチュピチュJAS認証のオーガニック。甘みを付加するために使います。

IMG_2221

酸味を出さないよう2ハゼを聞いてから冷却。

IMG_2223

タイチェンライ オリエンタルファズ農園。チャフの多いナチュラルの豆です。個性は強くないですがほんのり甘い香りがエチオピアの酸味を抑制してくれます。

IMG_2224

2ハゼまで聞いて冷却。1ハゼ後は火力を落として、スモ―キーにならないよう注意。

IMG_2225

エチオピア2段階煎り分け+ペルー+タイ。

当初グァテマラを使って香りを高めようかと思っていましたが、春の雨や湧き水をイメージしていたので、

華やかになりすぎないよう、控えめな味わいに変更。

淹れたては香りを、冷めてからは甘みをお楽しみ頂けると思います。