エチオピア モカ イルガチェフェG1 ゲディオ ナチュラル

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エチオピア シダモ州イルガチェフェ地区の小規模農家の集買したものです。

ゲディオというのははっきりとはわかりませんが、精製する場所の名前、もしくは商品名です。イルガチェフェのモカは農園指定で買い付けが出来ないシステムになっているそうなので、シングルオリジンではありません。

標高1800~2200mとかなりの高地で水が潤沢ではないため、果肉がついたまま天日干しして脱穀するナチュラル製法で精製されています。このため、脱穀した後も果肉の甘酸っぱい香りがほのかに残っていて、(発酵臭とも言えるので好みは分かれるかもしれません))フルーティな酸味と華やかな香りが特徴となって出てきます。

欠点豆少なく、状態は良好な生豆でした。

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イチハゼ直前から柑橘系の香りが強くたちのぼります。ナチュラルらしい大量のチャフが舞います。

イチハゼが終わった時点で火を止め、余熱でゆっくり転がしてから冷却。膨らみは上々。味わいはかなり濃厚。あとに苦みが残らず余韻はわりとすっきり。

9月も終わりに近づき、焙煎工房もだいぶ涼しくなって、室内の温度が30度前後までしか上がらなくなったので、石焼き効果のための鉱石の量を調整しました。

これから、本格的に寒くなるまでの間は、焦げが出ないようフードの開け閉めと、火力の微調整がデリケートな時期です。

 

 

 

 

焙煎記録:ブレンド「風日待」

9月の定期便ブレンド「風日待(かざひまち)」

風日待とは、二百十日の頃、風を鎮めるために村人たちが仕事を休んで神社に籠る行事のことです。

いまは形骸化していますが、私の地元でも明日は「お籠り」の日です。

収穫を前に風の神様を鎮める祭り、日々の生活からは遠ざかっている神事ですが、自然を畏れ敬う心もちを忘れずにいたいと思います。

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プリミックスのグァテマラ ブルーレイクSHBとホンジュラスHG。生豆の画像撮り忘れました。

イチハゼから火力を落として、二ハゼ直前で冷却。

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タイチェンライ オリエンタルファズ。パストクロップ(前年の豆)なので、やや乾燥が進んでいます。丁寧なハンドピックが必要。

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焦がさないことを一番注意しつつ、二ハゼ始まるまでじっくりと。イチハゼが弱く、火力に気を使いました。

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メインのメキシコ  クステペックSHB。 豆が大きく、センターラインのはっきりした豆。

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酸味を抑えるため、二ハゼのピークまでしっかり焼きます。

力強い風をイメージして作りましたが、仕上がりはなぜかまろやかで柔らかい口当たり。グァテマラの香りが効いていて複雑な風味になりました。

 

パプアニューギニア ピーベリー

パプアニューギニアはオーストラリアの北、赤道のすぐ下に位置する島国です。

コーヒー豆の生育には、昼と夜の寒暖の差(気温差)が欠かせないものですが、パプアニューギニアは、「一日で一年の気候を繰り返す」といわれるほど変化に富んだ環境で、コーヒーの栽培にはとても適していると言われています

今回焙煎したのは、ピーベリー。

ピーベリーとは、コーヒーの木の先端部分になる実のことで、丸っこい形が特徴です。

通常は一つの実の中に、二つの種子(コーヒー豆)が向かい合うような形で入っているのですが、ピーベリーは一つしか入っていません。そのため、「コーヒーのひとりっこ」と呼ばれたりもします。

一本の木から収穫されるピーベリーの量は大体全体の一割くらいです。

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丸い形。ころころしていてかわいらしいです。しっかりウォッシュドされていてチャフは少なく、欠点豆もほぼなし。

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イチハゼ直前の香りが素晴らしいです。前にパプアを焙煎した時にも同じことを感じたので、かなりはっきりした特徴だと思います。生豆の時から粒が大きいなあと思っていましたが、膨らみが素晴らしく、ピーペリーとは思えない迫力のある仕上がりです。

イチハゼは控えめ。いったん火力を落とします。苦みが出すぎないようニハゼ前に火から外して、余熱でややゆっくり仕上げます。甘みのある酸味が出たジューシーな味わいだと思います。

 

 

 

 

 

焙煎記録:ブレンド「水脈(みお)」

8月の定期便ブレンド「水脈(みお)」

<水脈の果て炎天の墓碑置きて去る>

俳人金子兜太さんの句から。

南方のトラック島で終戦を迎え、島を去るときに読んだ句とのこと。

–自分はここで一死んだようなものだ。墓碑をここに置いていこう。残りの人生は戦争のない国をつくるために尽くそう。

という思いを読んだ句だそうです。

ブレンドに、これからも戦争のない日々が続きますように、コーヒーの生産国で続く内戦や紛争が早く終わり、小さな子どもたちが学校にも行けず働いたり、飢えたりすることがなくなりますように、という思いを込めて。

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ブレンドのベースのホンジュラスHG(ハイグロウン)。やや乾燥しています。粒は大きめで揃っています。

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苦味が出すぎないよう、2ハゼの始まりまで強火でいっきに煎りあげます。味わいはとてもマイルドで癖がない感じ。

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インドモンスーン。淡い黄色のきれいな生豆。ほうじ茶のような香ばしさが特徴。

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隠し味で香ばしさを。こちらも強火でさっと煎ります。からからに乾燥している(わざと)豆なので焼き時間も短いです。

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エチオピア イルガチェフェG1。ナチュラル精製で、甘酸っぱい珈琲の果肉の香りが残っています。G1haはやり欠点豆が少なく、粒の揃いも良く焙煎しやすいです。

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1ハゼ後すぐに冷却。さわやかさと甘味をミックスしていきます。煎り上がりの豆面はやはりモカ。しっかりハンドピック。

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3種の豆のブレンドです。モカの香りはやや抑えられていますが、甘みはしっかり引き出されて、ホンジュラスの苦みの後に甘さが余韻になって出てくる。面白い味に仕上がりました。

 

 

焙煎記録:ブレンド「打水」

7月の定期便ブレンドです。

この季節はやっぱり冷たい珈琲が美味しいですね。打水のように、ひととき涼んで頂けるようにこの名前に。

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ペルー マチュピチュ。欠点豆が多めで5%くらいピックします。中煎りで酸味を残しても美味しいですが、今回は合わせる豆がエチオピアなので深煎りで。

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勢いよくイチハゼ、そのあとか力をMAXまで下げてじっくり。ニハゼを聞いてすぐ冷却。

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エチオピアグジ。モカの中では断トツに状態が良い。香りも華やかで酸味は軽やか。

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おとなしめにイチハゼ。そのあと火力を落としてじっくり。ニハゼの直前で冷却。

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今回はこの2種類をハーフ&ハーフで。配合は何度か試してみましたが、これがベストのようです。

ホットでは香りが本当に華やか。アイスはすっきり。ストレートで鼻に抜ける香りを楽しめます。

タンザニア ブラックエレファント

タンザニア テンボ・テンボ農園 ブラックエレファントAA、勇ましい名前の豆です。

タンザニア カラツ地区 オルディアニ山にある火山杯土壌の農園で生産されています。

タンザニアは実はちょっと焙煎するのが苦手な豆で、滅多に仕入れないのですが、この豆はかなり品質が良いので

豆のポテンシャルに助けてもらえるかなあと思いトライしてみました。

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粒が揃っていて、欠点豆も少なく、状態良好。

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中煎りで止めたいところを、火力を落としてもう一段階深めに。アイス珈琲を意識して。

香りがしっかり残せるぎりぎりのところで煎り止め。

味わいは、シングルでは香りが良く、苦みは少なく、マイルドに落ち着いた感じ。

今回はブレンドのベースにしたため、モカとマンデリンを加えましたが、かなり癖のある風味になってしまいました。

合わせ方の問題は大きいですが、この豆はシングル向きかと思います。

 

焙煎記録:ブレンド「結葉」

6月の定期便ブレンド「結葉(むすびは)」です。

初夏の緑の葉が重なり合ってグラデーションになる様を指す言葉です。

九州も6月初めに梅雨に入り湿気が多く、蒸し暑い気候ですが5月より気温は低め。

湿度が高いせいか、焙煎が安定せず、初見の豆に手こずりました。前回の焙煎より火力上げ気味でいかないとダメっぽい。

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タンザニア ブラックエレファント。タンザニアにしては粒は大きいほうかと思います。そろっていて欠点豆も少なかったです。

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今回のブレンドのベースに。やや深めの焙煎ハゼの勢いは弱め。イチハゼから火力を落として長めに焼きます。

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モカ マタリ。ハラ―も相当ですが、マタリもなかなかにハンドピックが手ごわい。右が一回目のハンドピック。

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イチハゼからすぐで止めて冷却。焼いてから2度目のハンドピック。焼いてからでないと欠点がわかりにくい豆も多いです。

タンザニアの香りをさらに底上げするようにアクセントで使います。

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マンデリンG1 前回仕入れたロットがこれで終わり。5%くらいハンドピック。次のロットはやや状態が良くなっていたので、もう少し減ると思います。

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ニハゼまで焼きますが、火力はおとして長めに。アイス珈琲にしたときに、コクが出るようにアクセントで加えます。

全体としてはやや癖のある風味のブレンドになりました。マンデリンとタンザニアがあまり相性良くなかったかな、という感じ。

ブラックエレファントはシングル向きかもしれません。