焙煎記録:ブレンド「打水」

7月の定期便ブレンドです。

この季節はやっぱり冷たい珈琲が美味しいですね。打水のように、ひととき涼んで頂けるようにこの名前に。

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ペルー マチュピチュ。欠点豆が多めで5%くらいピックします。中煎りで酸味を残しても美味しいですが、今回は合わせる豆がエチオピアなので深煎りで。

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勢いよくイチハゼ、そのあとか力をMAXまで下げてじっくり。ニハゼを聞いてすぐ冷却。

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エチオピアグジ。モカの中では断トツに状態が良い。香りも華やかで酸味は軽やか。

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おとなしめにイチハゼ。そのあと火力を落としてじっくり。ニハゼの直前で冷却。

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今回はこの2種類をハーフ&ハーフで。配合は何度か試してみましたが、これがベストのようです。

ホットでは香りが本当に華やか。アイスはすっきり。ストレートで鼻に抜ける香りを楽しめます。

焙煎記録:ブレンド「結葉」

6月の定期便ブレンド「結葉(むすびは)」です。

初夏の緑の葉が重なり合ってグラデーションになる様を指す言葉です。

九州も6月初めに梅雨に入り湿気が多く、蒸し暑い気候ですが5月より気温は低め。

湿度が高いせいか、焙煎が安定せず、初見の豆に手こずりました。前回の焙煎より火力上げ気味でいかないとダメっぽい。

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タンザニア ブラックエレファント。タンザニアにしては粒は大きいほうかと思います。そろっていて欠点豆も少なかったです。

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今回のブレンドのベースに。やや深めの焙煎ハゼの勢いは弱め。イチハゼから火力を落として長めに焼きます。

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モカ マタリ。ハラ―も相当ですが、マタリもなかなかにハンドピックが手ごわい。右が一回目のハンドピック。

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イチハゼからすぐで止めて冷却。焼いてから2度目のハンドピック。焼いてからでないと欠点がわかりにくい豆も多いです。

タンザニアの香りをさらに底上げするようにアクセントで使います。

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マンデリンG1 前回仕入れたロットがこれで終わり。5%くらいハンドピック。次のロットはやや状態が良くなっていたので、もう少し減ると思います。

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ニハゼまで焼きますが、火力はおとして長めに。アイス珈琲にしたときに、コクが出るようにアクセントで加えます。

全体としてはやや癖のある風味のブレンドになりました。マンデリンとタンザニアがあまり相性良くなかったかな、という感じ。

ブラックエレファントはシングル向きかもしれません。

 

 

 

焙煎記録:ブレンド「小満」

5月の定期便ブレンド「小満(しょうまん)」

小満とは、二十四節気のひとつで立夏から15日目(おおよそ5/21)頃を指す言葉だそうです。

秋に蒔いた麦の穂に実が入りはじめ、農作物が順調に育っていることにほっとする(小さく満足する)ことに由来しているそうです。

小満の次が芒種(イネ科の植物の種を指す)。沖縄ではこのふたつを併せて、小満芒種(すーまんぼーすー)と言い、梅雨をあらわす言葉として使っているそうです。

これを書いているまさに今日明日と沖縄に仕事が入っていたのですが、台風6号で欠航。明日出発に変更しました。

まさに、すーまんぼーすー。

話が逸れましたが、清々しい新緑の頃、珈琲もホットからアイスに衣替えのシーズンです。

ホットでもアイスでも飲めるよう甘みを強く出したやや深めの焙煎のブレンドに仕上げました。

初見の豆はないので、生豆の写真は省略しています。(HP左のメニューバーの各カテゴリからご覧ください。)

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タイチェンライオリエンタルファズ農園 今回のブレンドのベース。1ハゼ後火力を落としゆっくり焼いて、2ハゼを聞いてから冷却。

甘みのある香りとマイルドさが特徴。無農薬有機栽培です。

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マンデリンG1 年々ハンドピック量が増えるマンデリン。なかなかいい生豆に会えていません。

2ハゼ終了までじっくり焙煎します。香ばしくとろみのある甘みを引き出します。

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モカマタリ フルーティな香りをアクセントに使います。1ハゼはが弱いので、火力を落としてゆっくり芯まで熱をいれます。

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グァテマラ ブルーレイク。 シングルではカカオに似た香ばしい香りにほど良い酸味が合わさり、とても美味しい豆。

今回はタイチェンライベースで全体にマイルドなので、モカと同じくアクセントとして使います。これで全体にメリハリが出てきます。

 

焙煎記録:ブレンド「空錠」

4月の定期便ブレンド「空錠(からじょう)」

空錠と人には告よ田打人  一茶

初夏、田植えの前の土起こしを「田打ち」というそうです。

朝早くから日暮れまで田に出て働くお百姓さんは、来客を迎える暇もなく、家の鍵は開いているから勝手にお入りよと、いうような意味合いだと思います。

いまは家の鍵をかけずに出かけるのはなかなか難しいことですがこんな風に心はのんびりとしていたいものです。

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インド モンスーン。薄い黄色の良く乾いた生豆。

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あっさりめに煎って香ばしさを出します。

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マンデリンG1 するんとした肌の生豆。ここ数年品質が安定せず虫食いが多いので入念にハンドピックします。

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二段階焙煎で。一ハゼの段階で一度冷却して水分をしっかり飛ばしてからもう一度焼きます。このくらいの煎りだとオパールのような複雑な色の豆肌。

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それでも深く煎りすぎないよう、2ハゼ直前で冷却。ここまで来るとつややかでしっとりした肌合いになります。

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インドとマンデリンの緩衝材的な役割でタイチェンライを少々加えます。

春の土が目覚めるような香ばしくコクのあるイメージのブレンドです。

 

 

 

 

 

焙煎記録:ブレンド「春霖」

3月の定期便ブレンド。

「春霖」別名なたね雨とも言う、春の長雨のことです。

草木の芽吹く香りを想起させるような香りの良い配合にしてみました。

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ベースのエチオピア グジ クオリティ1。生豆がとてもきれいで、今まで扱ったエチオピアの中ではいちばんべっぴんさん。

欠点豆が少なく、ハンドピックが楽でした。

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香り重視で、中煎りに。2ハゼを待たずに冷却。これをメインにします。

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同じグジをやや深煎りで。コクを出します。配合を少なめに、中煎りのものとミックスします。

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ペルー マチュピチュJAS認証のオーガニック。甘みを付加するために使います。

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酸味を出さないよう2ハゼを聞いてから冷却。

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タイチェンライ オリエンタルファズ農園。チャフの多いナチュラルの豆です。個性は強くないですがほんのり甘い香りがエチオピアの酸味を抑制してくれます。

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2ハゼまで聞いて冷却。1ハゼ後は火力を落として、スモ―キーにならないよう注意。

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エチオピア2段階煎り分け+ペルー+タイ。

当初グァテマラを使って香りを高めようかと思っていましたが、春の雨や湧き水をイメージしていたので、

華やかになりすぎないよう、控えめな味わいに変更。

淹れたては香りを、冷めてからは甘みをお楽しみ頂けると思います。

 

焙煎記録:ブレンド「凍解(いてどけ)」

2月の定期便ブレンドです。

お客のことろに到着するのはバレンタイン過ぎてからですが、ブラジルサントスショコラという豆をメインに

チョコレートに合う苦めのブレンドを作りました。

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ブラジルサントスショコラ。豆面はいまいちですが、欠点豆が少なくきれいです。

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2ハゼ後は火力を低くしてじっくり。煙っぽい香りがつかないぎりぎりのところまで焼きます。

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ミャンマーグリーンコーヒー(クリエーションミャンマー)。雨や霧の多い土地柄で粒は大きめですが、殻豆が多く、虫食いが少ないところを見ると、土壌がまだ整っていないのかな、という印象。ナチュラルらしくシルバースキンがみっちりついていて焙煎時のチャフがとても多い豆です。数年後にはもっと品質が良くなっていくだろうと思います。

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良く焙煎するタイと近い産地ですが味わいは全然違います。ミャンマーは若いというか、酸味が出やすいのでやや深めに焼き上げます。

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エチオピア モカ・ハラーボールドグレン

こちらも豆面は少々厳しい。乾燥が進んでいるため生豆が白っぽいです。

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さわやかな酸味と香りが特徴なのですが、ミャンマーも少々酸味があるので、あえて深煎りで。淹れたての時の香りにモカらしさが残ります。

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すべてアフターミックス。上記の3種にアクセント程度にマンデリンを加えて完成。

余韻に苦味が出ますので甘いものとの相性は抜群です。羊羹やおはぎなども相性良しです。

焙煎記録:ブレンド「焚火」

1月の定期便ブレンドです。

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メインの、タイチェンライ オリエンタルファズ農園

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焼きすぎないよう、2ハゼが始まると同時に火を止め、余熱で軽くハゼさせます。

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パナマ バルインディアンとグァテマラ ウェウェテナンゴをプリミックスし、軽やかな酸味を加えていきます。

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粒、水分量ともに近い状態の生豆ですが、グァテマラのほうがやや浅く仕上がっているのがわかります。画像で見ると

色づきの浅い粒がグァテマラ。タイと同じく、余熱で2ハゼを聞いてから冷却。

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イエメンモカ イエメニ。ハンドピックの仕様がないほど小粒でパサついています。

見た目は悪いのですが、香りがずば抜けているので10%ほどアクセントに使います。

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さっと煎る感じ。1ハゼで煎り止め。特に状態の悪いものだけをハンドピックで取り除きます。

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焼き上がりをブレンドする前に比較してみました。左半分がパナマ&グァテマラ。右半分がモカイエメニ。

粒の大きさや状態の違いがはっきり分かると思います。

抽出するとフルーティな香りがふわっと漂ってます。モカある無しでこれがはっきり変わります。

「焚火」のように暖かく、ひととき時間を忘れさせてくれるような珈琲になるようにと思い名付けました。